ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

外科学会のコンセプトビデオ問題の裏に潜む診療科目間のフリーライド問題

こんにちは、コッカーマリン(@losgenedoctor)です。

 

先日炎上した外科学会のコンセプトビデオに関するエントリーを書きましたが、

www.cokermarin.com

 

この話題と、診療科目間のフリーライド問題が微妙に自分の中でリンクするのでそのことを書きたいと思います。

 

 

このvoicy聞いてみてください。すごく腑に落ちる内容です。

 

これまで僕が働いて見てきた中ですごく多いのが、奥さん麻酔科医、旦那さん麻酔科以外の医者という組み合わせです。 

全員じゃないんですが、そういう女性麻酔科医は最初の妊娠・出産あたりから当直や時間外勤務などをしなくなる傾向が多かったです。

 

当直は独身者か僕みたいな奥さんが専業主婦の男医者で回すことになります。

10人麻酔科医がいて2人くらいがそういう人でも別に問題ないんですが、麻酔科は女性比率がどんどん上がってきておりますので、10人中5人くらいが当直しません系の医者になるとなかなか残りの人達は辛くなる。

 

いわゆる"ゆるふわ女医問題"としてそのママ達が批判されるというのはよくあるパターンなんですが、実は本当はその夫達にも問題があるわけです。

もっというとその夫の企業、というか医局ですね。

 

医者の夫たちが、医局から何時まででも働かせていい人達として扱われることで、その奥さん達は当直業務時間外業務が全くできなくなるわけです。

夫が「絶対に○○時までに帰ってくる日」を設定できないことで、毎日ずっと縛られてしまう。

 

もちろん本当は当直できるのに、やりたくないからやらない、というママ女医もいると思われますが、実際には夫の医局が新しい時代に合ったワークライフバランスを作り出さないのが問題であるということも大いにあります。

新しい時代に合った働き方を提供するには、組織として生産性を上げなければならないわけですが、それを怠っているといえるのかもしれません。

 

それこそ外科学会のコンセプトビデオにあったような前時代的な働き方を礼賛するような空気です。

それを「良くはないかもしれんが、我々の価値のある仕事のためにはしょうがないだろう」として放置できるのは、診療科目間のフリーライドによって支えられている面があることを彼らは認めなければなりません。

 

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そういう意味ではあのビデオを批判している若手外科医達と現状フリーライドされている麻酔科医達は同じ立場にいるのかもしれませんね。

 

別に我々と同じだけママ女医さん達にも働けとは言わないし、個人的には外科医も9時5時しか働くな、とは全く思わないのですが、月に1回でも2回でもいいからママ女医さんたちも当直時間外業務をやる日を作る努力をしてほしいですね。

ただ、そのためには麻酔科だけではなく医者の世界が一斉に変わっていく必要がありそうです。