ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

外科学会コンセプトビデオに対するロスジェネ麻酔科医の一意見

こんにちは、コッカーマリン(@losgenedoctor)です。

 

ツイッターでは、誰の目から見てもわかりやすく時代の空気に合ってる or 逆行していると炎上しやすくなります。

その時の炎上ネタに関してなにか書き込むと、人の目にもつきやすくなるし、いいねがもらいやすくなります。

腕に覚えがあるツイッタラーは何かたくさんいいねが貰えるような面白い表現や刺さる書き方を考えて頑張って書き込みます。

もちろん世間に言いたい自分の思い、というのもあるんだとは思うんですが。

 

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それはおいておいて、昨日話題になっていた外科学会のコンセプトビデオです。

2020年8月13日〜15日に開催されている、今年の日本外科学会定期学術集会(Web開催)で公開されたビデオで、見ようによっては確かになかなか時代錯誤感ある感じはします。

 

 

ネットで早速炎上して、見ていて色々と思うこともありました。

  

  

 

 

 

  

 

  

 

 

 

やはり「今っぽく」ないんですよ。時代に合っていなくて、流行らない感じ。

主治医がなんでも呼び出されるなんてことはやめて当番制にし、プライベートと仕事を両立させる方法をみんなで考えていくべきだ、という意見がSNSでは多数派のようです。

 

実際に外科を選ぶ医者が減り続けている現状はあって、その原因の1つに今回の動画みたいな働き方をやむを得ないもの、あるいはカッコいいものとして扱う人間が多い業界である、というのはありそうです。

外科医を増やしたいと学会をあげて活動したいのなら、今回の動画はあまり上手いやり方ではなかったといえるのかもしれません。

 

逆に、こんな意見を持つ先生方もおられました。 

  

 

外科医=カッコいい、だから頑張ってやるんだ!というモチベーションで外科を選んだ人はいると思います。

カッコいいからとかじゃなくて「外科的アプローチで悪い場所を一網打尽に切り取って、患者の命を助けるという形が好きで外科を選んだんだ」、という友人もいました。

 

そういういう外科医にとってみたら、医療は多分に属人的で、自分とその患者さんとの関係というものを大事にします。

患者さんのことを考えてつい無理な働き方をしてしまう。

そして自分個人のいろんなことを犠牲にしてしまうのですね。

 

 

僕の意見ですが、仕事というのは「普通の仕事」と「特別な仕事」というのがあって、医療の分野では外科医というのは代表的な「特別な仕事」だと思います。そこには神々しい、光り輝くようなきらめきがあって、みんなから憧れられて当然であり、外科医療ではやはり外科医がもっと輝けるように周囲は頑張るという関係がある、と。

 

麻酔科医というのは逆に「普通の仕事」で、取替がきく仕事です。だれがやってもいいし、別に分かりやすい形でかっこよくはないんですよ。

だから麻酔科医を題材にしたドラマなんてほとんどないし、まずカッコいいなんて思われません。

 

しかし以上で述べたことは、本質的な意味で外科医はカッコいい、麻酔科医は普通の仕事でつまらない、ということではないんです。

あくまで"そういうことになっている"だけです。

いや、実際にそうなのかもしれませんが、そこはどちらでもいい。

 

特別なことだと本人が思っていて周りがそうけしかけるので彼らは喜んで搾取されている。それはそれで何も問題はないんじゃないかと思うんですよね。

美しい搾取関係ですよ。

 

いやいや今の状態を放置して、外科医が減ったら困るだろう、と言われたらそれまでですが、今回のこのビデオを批判する声を聞いていて僕がまず思ったのはそういうことでした。

 

あと、若い人は新しい感覚や考え方が正しいんだということで、学会や医局や先輩医師達に老害のレッテルを貼りたがります。

しかし思うのですが、今現在現役で働いている人たちは平等に意見を持って良いんじゃないでしょうか。

若い人の考え方も一つの考え方として尊重すべきですが、中堅以降の人たちの意見というのも同じ一票のはずです。

 

ロスジェネくらいの医者はどうしても両方の意見に振り回される傾向はありますが、どっちの意見もわかるけど、というのも一つの立派な立ち位置です。

むしろいろんな世代のいろんな考え方を、お互いに批判せずに両立させるのがもっと今っぽい考え方な気がしています。

 

この話に関して、こんなブログもありました。

blog.livedoor.jp