こんにちは、コッカーマリン(@losgenedoctor)です。
ツイッターでは、誰の目から見てもわかりやすく時代の空気に合ってる or 逆行していると炎上しやすくなります。
その時の炎上ネタに関してなにか書き込むと、人の目にもつきやすくなるし、いいねがもらいやすくなります。
腕に覚えがあるツイッタラーは何かたくさんいいねが貰えるような面白い表現や刺さる書き方を考えて頑張って書き込みます。
もちろん世間に言いたい自分の思い、というのもあるんだとは思うんですが。
それはおいておいて、昨日話題になっていた外科学会のコンセプトビデオです。
2020年8月13日〜15日に開催されている、今年の日本外科学会定期学術集会(Web開催)で公開されたビデオで、見ようによっては確かになかなか時代錯誤感ある感じはします。
ネットで早速炎上して、見ていて色々と思うこともありました。
日本外科学会のコンセプトビデオ。昭和の外科医の感覚かと。
— Karyona (@Karyona1) August 12, 2020
アメリカで子供の誕生日に”あ、病院から呼び出しだわごめん行くわ”てなったらなんでお前今日シフト調整しとかなかったん?ってヨメ次の誕生日まで口聞いてくれなくなる https://t.co/MuHNGYUWkw
日本外科学会、「学会コンセプトビデオ」冒頭で、子供の誕生日に思いっきり呼び出されてるけど #そういうところやぞ という感想を禁じ得ない……… ハードワーカーの外科医の先生方はリスペクトするけれど、irregularな労働を「コンセプト」にしない方が良いのでは。https://t.co/EDBv1BB51g
— Noboru Hagino (@Noboru_Hagino) August 11, 2020
外科学会のビデオ見ました。奥様の才能と夢を全てぶった切って平気で、子供が事故も病気も障害もなくすくすく育つのが前提で人生を設計できて、ご本人はキャリヤ邁進。それぞれの家庭のことなので個人というかご家庭の選択ですね。仕事人として恵まれていたことにもう少し謙虚になったらどうですか。
— aretaeus (@aretaeus2) August 12, 2020
外科学会の動画。「家庭があっても子供の誕生日でも仕事優先!俺達外科医!カッコいー!!」
— さーたりΔ3/18外科医のママ道!発売!! (@gogofujoy) August 12, 2020
ってイメージビデオ。誰向けに作ったんだろ。でもこれ見て外科医になろうとは思わないだろうな。外科の重鎮たちの価値観はまだそこなのか…と落胆する人の方が多いのではhttps://t.co/RfpR83csKT
外科医の仕事は命に向き合うこと、ってナルシストもここに極まれりとしかなぁ。他の科の先生も命に向き合ってると思うけど。
— うめの同居者【ふくちゃんとも同居者】 (@aoyamaume) August 12, 2020
既存の外科医の価値観を否定するわけではないが、現在の若手外科医及び医学生には魅力的には映らないだろうと思われます。 https://t.co/Q3zJ2x3uB1
— 空猫 (@tonarinoable) August 12, 2020
外科学会のコンセプトビデオ。
— あべ みゆき (@0641002) August 12, 2020
作った世代が、涙を飲んで耐えてきた滅私奉公をコンセプトビデオに入れるなと炎上する様をみて、何を思うのかな。
次に来るのは良い時代だと安心するのか、自分達の半生を否定されるように感じて寂しがるのか…
うちの子に「君の誕生日にママが仕事に呼ばれたらどう思う?」って聞いたら「病院をうらむ」って言われました。
— Kay@消化器外科医 (@GI_surgeon) August 12, 2020
昔、子どもの発熱で帰宅した後で緊急手術で呼び戻された時もあるんですが覚えているかな…(母に頼んだ)
「ママ手術だから行くね」って言った時の子どもの絶望的な目が忘れられません。 https://t.co/aUz2l4iX64
まだ悶々してるので書きだすと
— さーたりΔ3/18外科医のママ道!発売!! (@gogofujoy) August 12, 2020
・誕生日のシーンが冒頭かつ具体的なのに仕事シーンがほんわかぼんやり描写だからよけい際立つ
・最後の手を見るところも「子供<仕事」のだめ押し
・さんざん何年も「働き方改革」とかセッションしてる「学会」の「コンセプト」であの動画、関わってる先生脱力でしょ
外科学会コンセプトビデオ
— とーこ🍙田舎腹外科医 (@inakatoko) August 12, 2020
妻子がいて、かつ、子の誕生日を蔑ろにして仕事をすることを美学とするものだった
まさか本当に気付いてないのか?
これは外科医が減っている理由そのものだろう
当番制を組み、時には休むべきだ
自己犠牲に後続は続かないhttps://t.co/ALfSfsDipT
やはり「今っぽく」ないんですよ。時代に合っていなくて、流行らない感じ。
主治医がなんでも呼び出されるなんてことはやめて当番制にし、プライベートと仕事を両立させる方法をみんなで考えていくべきだ、という意見がSNSでは多数派のようです。
実際に外科を選ぶ医者が減り続けている現状はあって、その原因の1つに今回の動画みたいな働き方をやむを得ないもの、あるいはカッコいいものとして扱う人間が多い業界である、というのはありそうです。
外科医を増やしたいと学会をあげて活動したいのなら、今回の動画はあまり上手いやり方ではなかったといえるのかもしれません。
逆に、こんな意見を持つ先生方もおられました。
外科学会のビデオ
— 小児脳神経外科😻いはら (@skycosmocandy) August 12, 2020
私はカッコいいと思いましたよ
これが炎上?個人的にはこれ見て外科医にならないのなら、どちらにしろ無理です。現実はもっと厳しいし生存競争です。
— 小林 裕之 Hiroyuki Kobayashi (@neko64151) August 12, 2020
学会コンセプトビデオ https://t.co/NK9DryOzS6 @YouTubeより
外科学会のビデオは新入局員勧誘用なら30点くらいだろうけど、現学会員を鼓舞するビデオとしてはボチボチなのではないだろうか。
— 鋼Gearオルソ🎤 (@FullMetalOrtho) August 12, 2020
新入局員が減っているのはモチロン由々しき事態だろうけど、1番アカンのは現役外科医がモチベーションを無くしてしまう事。
働き方改革をしたいのは外科も同じでしょう。
外科医=カッコいい、だから頑張ってやるんだ!というモチベーションで外科を選んだ人はいると思います。
カッコいいからとかじゃなくて「外科的アプローチで悪い場所を一網打尽に切り取って、患者の命を助けるという形が好きで外科を選んだんだ」、という友人もいました。
そういういう外科医にとってみたら、医療は多分に属人的で、自分とその患者さんとの関係というものを大事にします。
患者さんのことを考えてつい無理な働き方をしてしまう。
そして自分個人のいろんなことを犠牲にしてしまうのですね。
今っぽく無さすぎるとは思うけど、今後もこういうヒロイズムに支えられてる社会のパートがあってもいいんじゃないかととも思う。世間は外科医はカッコいい!偉い!と賛美して外科医は(実はひどい境遇でも)自分をヒーローと思えるから頑張れる、と。美しい搾取関係。 https://t.co/ha3Si1sJ0z
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) August 12, 2020
僕の意見ですが、仕事というのは「普通の仕事」と「特別な仕事」というのがあって、医療の分野では外科医というのは代表的な「特別な仕事」だと思います。そこには神々しい、光り輝くようなきらめきがあって、みんなから憧れられて当然であり、外科医療ではやはり外科医がもっと輝けるように周囲は頑張るという関係がある、と。
麻酔科医というのは逆に「普通の仕事」で、取替がきく仕事です。だれがやってもいいし、別に分かりやすい形でかっこよくはないんですよ。
だから麻酔科医を題材にしたドラマなんてほとんどないし、まずカッコいいなんて思われません。
しかし以上で述べたことは、本質的な意味で外科医はカッコいい、麻酔科医は普通の仕事でつまらない、ということではないんです。
あくまで"そういうことになっている"だけです。
いや、実際にそうなのかもしれませんが、そこはどちらでもいい。
特別なことだと本人が思っていて周りがそうけしかけるので彼らは喜んで搾取されている。それはそれで何も問題はないんじゃないかと思うんですよね。
美しい搾取関係ですよ。
いやいや今の状態を放置して、外科医が減ったら困るだろう、と言われたらそれまでですが、今回のこのビデオを批判する声を聞いていて僕がまず思ったのはそういうことでした。
あと、若い人は新しい感覚や考え方が正しいんだということで、学会や医局や先輩医師達に老害のレッテルを貼りたがります。
しかし思うのですが、今現在現役で働いている人たちは平等に意見を持って良いんじゃないでしょうか。
若い人の考え方も一つの考え方として尊重すべきですが、中堅以降の人たちの意見というのも同じ一票のはずです。
ロスジェネくらいの医者はどうしても両方の意見に振り回される傾向はありますが、どっちの意見もわかるけど、というのも一つの立派な立ち位置です。
むしろいろんな世代のいろんな考え方を、お互いに批判せずに両立させるのがもっと今っぽい考え方な気がしています。
この話に関して、こんなブログもありました。