ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

ロスジェネ麻酔科医が医局に属することの一番のデメリットとは

こんにちは、コッカーマリンです。

 

ロスジェネ世代というか、アラフォーくらいの麻酔科医が今医局に属することにメリットはあるのでしょうか。

本来メリット・デメリットで考えるような話ではなかったのかもしれませんが、フリー麻酔科の登場や各地の医局の崩壊などをみているとしっかりとなぜ医局に今自分が属しているのかいないのか、認識する必要があると思います。

 

メリットが多い人としてはこんなタイプが挙げられるでしょう。

  • 医局で出世するコースに乗っている人。どこかの教授になると目されていて、論文をちゃんと書いていたり継続して続けている研究なんかもある。
  • 研究がしたい人。出世とかしたいわけじゃないが、科研費をちゃんともらえる、研究日があって研究に専念できる環境がある、Pudmed見放題 、そういう環境を求めている人。
  • 心臓外科の麻酔や、移植の麻酔、そういうアドレナリンが出る系の麻酔をやっている時にしか仕事が楽しくない人。

現状医局に属していなければ教授なり名のしれた病院の幹部になる道は閉ざされています。偉くなりそうな人は医局の期待が集まってくるし、看護師や他科の医師もそういう目で見てきますし、自分でもその期待に沿うように研究なり臨床に邁進する、その承認欲求の達成というのはとても価値のあるものです。そういう生き方をしている人は自然とそういう風格が出てくるものです。

 

また麻酔するだけで症例報告書けちゃうような"刺激的"な麻酔症例はやはり大学病院でいっぱしの麻酔科医として勤務していなければ担当することはないでしょう。

意外とそういう麻酔をやる達成感というのはあって、偉い外科の教授に名前を覚えられて、"君が担当なら安心だ"なんて言われたら給料安くても当直多くても頑張ってしまう人多いと思います。自分のところの麻酔科の教授からでも、普段悪口言ってたって直接「キミがいるからうちはもっているようなもんだよ!」なんて言われて悪い気分のする人はいないでしょう。

 

純粋に研究をやって論文が書きたいとだけ思っている人もいるし、人がたくさんいる職場が好きであるとか、そんな場合もあると思います。研修医と麻酔をやって何も分かってない若者にあーだこーだと話すのもなかなか楽しいものです。

 

実は大学病院でへーこら麻酔科医をわりと上の方の立場でやるのはなかなかいいものなのです。40くらいで麻酔がなんでもできて、人望もある程度あって部長にいちいち逆らわない、当直を多少無理言ってもやってくれる、そんな人材が重宝されないわけはないんですね。

例えば5年目くらいの先生が導入してAライン入らず困っている、そこへ現れて一発で入れたらもうそれだけでスター扱いです。一般病院だったら当たり前にみんなやってることを、未熟が医者が多い施設にいるというだけですごくデキる医者扱いされるわけですね。医者なんて基本褒められたい人種ですし、患者さんから感謝されないタイプの診療科である麻酔科医は逆に承認欲求が強い人間が多い

 

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デメリットももちろんあって、仕事量が絶対的に多くて、「医局の意向」に人生が左右される、人間関係がめんどくさいなんてのがあります。

アドレナリンが出るような麻酔は長くて大変なことが多いので、臨床が単純に大変です。医局の仕事もありますし、自分のスキルアップに時間がとれることはこのくらいの年令になるとどんどん少なくなってきます。

人間関係のトラブルの対応や、ある程度立場があると変に気を使われたり逆に恨まれたりすることもあります。

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しかし最大のデメリットは「アホになること」ではないかと個人的には思います。

 

医局にいると、なんとなくレールに乗った感じになって、あと何年かここにいたらどこかの病院に赴任させてもらって、部長が定年したらそのあとで部長になって、、とかなんとなく思っているわけですが、その場合給料とか待遇面は基本的に脈々と受け継がれてきたものを踏襲する前提でいくのであんまり考えないんですよね。自分の頭で考えない。

 

医局を離れると、バイト先をどう確保するのか、勤務先とどう労使交渉するのかなど必死で考えるようになります。税金のことなど、ファイナンシャルIQもあがる。額面給料が多少下がってもお金の勉強をうまくすれば手元に残るお金は減りません。お金のことを理解することは世の中を理解することと同じことで、いろんなことに対する視野も広がります。

 

あと臨床に関しても、大きな施設にいるとすごいことをやっているようで実は根っこの部分の臨床能力が衰える面があります。術前診察術後診察を下の人または術前診察担当の先生にまかせてしまって自分でしっかりしないことがあるので症例ごとのフィードバックが全然できません。挿管やライン取りの技術も、若い人にほとんどとられてしまって自分でやらないので実は上達しません。

 

医局というものの存在は大きくて、たとえ医局が積極的に守ってくれる気がなかったとしても結果として守られています。医局がしっかりとしたものとして存在していないと病院もこまるからですね。

そして守られていることで飼いならされ、自分の頭であたり前のことすら考える力がなくなってしまうのです。

そのまま50近くになればもうその医局にいなければ何もできないおっさんの出来上がりです。

 

投資でいうと一つの銘柄に全資産を投資するようなものです。リスクが高すぎます。

そこが最大のデメリットであると思います。