ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

麻酔を断るのは、麻酔科的にはどういうことなのか

こんにちは、コッカーマリンです。

 

「麻酔を断る」ということがたまにあります。

たまに、といいましたが頻度は結構施設によって、判断する麻酔科医によって違います。

 

なぜ断るかというと、いろいろ理由はありますが

  • 患者の状態が悪くて、麻酔という侵襲に耐えられないという判断
  • 患者の状態が悪くて、手術という侵襲に耐えられないという判断
  • 状態を良くしてから手術したほうがいいだろうという判断(肺炎など)
  • オペがいっぱいで、安全に麻酔管理ができる環境にないという判断

などがあると思います。

 

うちの病院の近くにもすぐ麻酔を断る麻酔科医のいる病院(ちなみに公的病院)があって、よく患者さんが送られてきます。

 

なんで断るのか、ってだいたい高齢で心機能がわるいとか大動脈弁狭窄症があるとか、そういうやつです。

 

いつも思うんですが、麻酔ができない基準ってなにをみて言っているんだろうと思いますね。

そんなガイドラインはないはずです。

ちなみに術前の循環器内科受診なんて、医学的にはほとんど意味無いです。

言い訳できるようにするためとか、そいう意味くらいしかない。

 

麻酔科医の言う「麻酔ができない」というのは、多くは「麻酔をしたくない」ということなんだと理解しています。

 

僕はもうほとんどのケース、ノールックで受けますけどね。

そういったケースで問題が起きたことは今の所ありません。

 

自分の関わった症例で麻酔をしたこと、オペをしたことで問題が起きたことはありますよ。

「俺が麻酔したら問題なんて起きない」と言うわけではないんです。

ではなくて、問題が起きるかどうかの予見なんて結局無理であるということが言いたい。

 

いろんな施設でいろんな麻酔をしてきましたが、こういう問題が起きるであろうと思ったことが実際におきたことなんて実はあんまりありません。

普通に臨床やっていたらこの感覚わかるのではないでしょうか。

 

問題が起きるのはほとんど「思ってもいなかったような」ところからです。

まぁもちろん問題が起きるかも、と思って気をつけていたから、とも言えるんですけど、個人的感覚ではあんまりそういう感じもしないですね。

 

とにかく麻酔が可能かどうか、手術が可能かどうか判断すごく難しいと思うんですよね。

長期的なことも考えないといけないし、この人がオペしたことで困る人はいないだろうかなど社会的なことも考えないといけない。

逆に少々危なくてもオペやってしまわないと先に進まんし、というようなケースも有る。

手術の内容にもよるし、どういった着地点を妥当だと患者・家族・外科医が考えているのかも分かっていないといけません。

病院の経営のことにも多少興味をもっていないと話にならない。

 

外科医が「麻酔を断って欲しいと内心思っている」というちょっと高度なケースもあります。

どっちにしても純粋に医学的な判断、なんてのはほとんど存在しないと思います。

個人的には麻酔をかけることだけなら、断るようなケースはほとんど存在しないと思っていますけど。

 

麻酔を受けるにおいてそれぞれに基準を持っているのはいいと思うんです。

「何でも受けます、でも麻酔しておかしくなったらスミマセン」ではまずい。

 

しかしその麻酔を受ける受けないの判断の根拠が曖昧であって、多分サイコロで決めるのとほとんど変わらない正確さしかないというのは麻酔科医も(そして外科医も)理解しておかないといけないと思います。

 

まぁ、かっこつけてそんなことない、俺は判断できる!って思ってる人もいそうですけどね。