こんにちは、コッカーマリンです。
オペがなんかおしていて次のオペが遅れそうだ、出血が多くて手術の見通しが悪そうだ、、
そんなとき、いろいろと麻酔科・手術室側から手術中の外科医にたずねたり要望を出したりする場面があります。
次の手術は他の部屋でオペ出しだけしておいてもいいでしょうか、とか、先生もう血は止まりますか?輸血のオーダーしといたほうがいいでしょうか、とか。
外科の先生はオペに集中しているし、執刀中は常に気が立っているわけなので聞きづらい場面なんですよね。
それなりのハードルがあるわけです。
聞かずに推測してすませることなんかもありますが、輸血がいるかどうかなんて必要なことだしオーダーした途端止血完了したら無駄になっちゃったりするので聞かないわけにいかない。
そういう場面で話しかける内容って大体ネガティブなことです。全部予定通りにすすんでないから調整が必要なわけですし。
言いたくないけど言わないといけない。
そういなるとえいやっと勢いをつけるつもりで言うとなぜか怒ったみたいになってしまう、そういうのあるんですよね。
もちろん出血させやがってオペ下手やんけ段取り悪いなぁ、的な怒りの感情がそもそもあることもあるんですが、僕が観察するにみんなつい思っている以上にキツイ言い方になってしまっていることが多いような気がします。
特に若い人。
外科医だって出血させたくてさせているわけじゃないし、興奮しているし、段取りが悪いって言われてもお前らだってどやねん、って思うこともあるでしょう。
要は「外科医 VS 麻酔科医」みたいな構図になっちゃうんですよね。
喧嘩というのは90%くらいは内容ではなくて言い方で起きるもんだと思うんですよ。
優しく言わないといけない。
でも事実は伝える必要がある。
ほんとは患者さん第一で、今起こってしまっている困った状態というのはサンクコストで、その原因を作った人を探したり責めても意味がなくて、そこからどう最適な道筋をつけるのかが一番大事なわけです。時間は一方向にしか流れませんから。
そのあたりをうまくマネジメントできて、いかに上手に外科医の気を悪くせず伝えられるか、それは医者としても力量だけではない経験と人間力が必要です。
というか中央診療部門の医者に関しては、それも含めて医者としての力量なのかもしれないですが。
今各地の手術室で起きていることはそういった力量のある麻酔科医が育っていないことなんじゃないかと思うんですよね。
能力のあるロスジェネ世代の麻酔科医は医局からどんどん離脱していて、そういうマジなマネジメントが必要な現場からは距離をおいていることが多いです。
そういうノンテクニカルスキルって評価されにくいですからね、客観的に。そこを目指そうってならないんですよ。
そういう現場で頼りにされるのが嬉しいと思うほど麻酔という仕事が面白くなくなった、というのが根本にあるとは思いますが。
麻酔診療の根本がくずれていっているのって、そういうことなのかもしれないなぁ、と思ったりします。