こんにちは、コッカーマリンです。
昨日から神戸で日本麻酔科学会第66回学術集会が行われています。
初日は専門医共通講習の「医師に求められるprofessionalismとその教育」を受講しました。
あんまりあのような話を聞いたことがなかったので面白かったです。
医者に限らないかもしれないですが、ある仕事のプロだと自認するなら、自分がその分野のテクニックを磨くというだけではなく、社会的にその仕事が認められるように各々が努力しないといけないんだ、そういう意識を持たないとプロフェッショナリズムとはいえない、という話だったと理解しました。
例えば学校の先生の淫行のニュースばっかり流れてきたら、学校の先生って変なのばっかりじゃねーか信用できない、みたいな世論になりますよね。実際はほとんどちゃんとやってる人ばかりだとしても。
演者の先生も似たようなことおっしゃっていましたが、例えば携帯の契約をドコモショップに行ってするとしたら、ちゃんと言われたとおり手続きすればちゃんと携帯が手に入って通話ができるようになるとみんな暗黙のうちに信じているわけですよね。
自分はあんまり説明を聞いてわからなくても、ドコモというちゃんとした会社ならまぁある程度妥当な仕事はしてくれるだろう、と期待しているんですね。
麻酔科医が社会的に認められている状態というのは、病院に入院して麻酔科の関わるような手術をすることになったときに、ほぼすべての一般の人が、
「ちゃんと安全に麻酔をしてもらえる、ちゃんと目が覚める」
「ちゃんと寝ている間に or 痛みがないうちに手術が終わっている」
ことを暗黙のうちに信じているということでしょうか。
・ちゃんと教育を受けた麻酔専門のお医者さんが、世の中で一番新しい良い麻酔をしている
・医者によって技術の違いが多少あるにしても、まぁ問題なく麻酔はかけてもらえるであろう
と期待しているわけです。
まぁちゃんとそのあたりは今の日本の麻酔界隈、ちゃんと出来ていると思います。
麻酔科医は信用できない、なんて一般の人誰も思ってないでしょう。
麻酔だけではなく、医者を含め医療者は基本的に日本の社会において信頼されているといっていいのではないでしょうか。
これはなぜなのだろうか、と考えます。
実際に病院にかかって、ちゃんとしてもらえた経験がみんな多いからかもしれません。テレビでかっこいい職業意識の高いお医者さんが出てくるからかもしれません。
僕は医学部の高い偏差値というものも影響が大きいのではないかと思っています。
これが偏差値45くらいの人ばっかりの仕事だったら、だれも医療なんて危ないことをしてもらおうって思わないですよきっと。
勉強ができるから医療をちゃんと安全に行えるという保証は実は全然ないんですけど、そんなの関係ないんですよね。
真面目で頭の良いタイプの人(医者になるようなタイプの人)を、殆どのひとは盲目的に信頼をしている。
そういう面はきっとあると思います。
その「医師の支持の元で動いている病院というシステム」(実際はそうではないんですけど)を信頼している。
だから兎にも角にも、医者側もその期待に答えないといけないというわけです。それで食ってるわけですし。
西医体で髪の毛を染めたらだめというルールが出来た、という話題もありましたが、医学部生も一般の人からみたら医者の一部だと思われているのなら、しょうがない話なのかもしれません。
髪の毛を学生のときにピンクにしていたようなタイプの人に診てもらいたくない、そう感じる人は多いはず。
麻酔科医のプロフェッショナリズムを高めていく役割が麻酔科学会にはあると思いますが、その観点からいくと
フリー麻酔科医の存在は麻酔科医のプロフェッショナリズムを高めるのにマイナスである
と考えていると思われます。講習でもちらっと触れられていました。
それはそうかもしれないし、そうでないのかもしれない。
カネのことだけ考えているような麻酔科の医者があちこちの病院を食い散らかして、外科医から白い目で見られている、というのが現実なら問題はあるかもしれない。
しかし僕が一般人なら、
麻酔のウデ一本で渡り歩いているフリー麻酔科医という人達が存在する
と聞いてむしろ良さそうと思うかもしれませんけど。
フリー麻酔科医というのが現に存在してたくさん麻酔をしているのに、その存在を学会が否定していて何やら中でもめている、みたいな話の方がよっぽど麻酔科全体のプロフェッショナリズムを毀損する話だと僕なんかは思ってしまいます。
自然発生的にでてきたフリー麻酔科医なんですから、フリーにも常勤勤務医にも両方いいところがあるんだと思うんです。
むしろフリーみたいな働き方も認めて、勤務麻酔科医とお互いに麻酔医療が良くなるように協力して、うまく融合させていくような流れを作っている業界であるほうが魅力的にみえると思うんですが、どうでしょう?