ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

フリー麻酔科医が悪目立ちしたのは本当にまずかった

こんにちは、コッカーマリンです。

 

president.jp

医者でも本当はお金のことをいろいろと考えていて、先行き不透明なこの時代特にいろいろと不安な人も多いと思います。

カネのことを堂々と話す先生も増えてきた印象もあります。

 

フリーランス麻酔科医というのがこの業界で一般的になったのは10年前くらいからだと思いますが、私なんかでも麻酔科医ですというと稼ぎ多いのかなと思われることがあります。

全然お金に無頓着な麻酔科の先生もいますけど、ちょっと迷惑しているのかもしれません。

 

思い出してみればフリーの麻酔科医が出てきた頃、「フリー麻酔科医が心臓麻酔したら1件で50-100万持っていくんですよ!」とかよく面白おかしく話題にしていた気がします。

麻酔科医にしたらそれくらい麻酔というのはそのくらい値打ちのあるものなんだよ、というニュアンスも込めてたと思うんですけどね。

麻酔科医以外にしたら悪いようにしか取らなかったでしょう。

 

とにかくフリーランスが広まって「麻酔科医=フリーランス or 稼げる」みたいな印象が広がって悪目立ちしたのは本当にまずかったと思います。

 

麻酔科医に一日いくら払っているか聞いたら、外科医にしてみたら自分たちのオペの付属品みたいに思ってる奴らが売上かっさらっていくようなイメージですよね。

実際はバイト麻酔でも大した給料で働いていない人たちもたくさんいたわけですけど、全部いっしょくたに考えられて麻酔のバイトは全部高いんだというイメージが広がってしまいました。

 

昔から当直バイトとかでやたらと給料の高い「おいしい」バイト先なんて他科でもたくさんあったんですが、麻酔バイトだけがやたらと目の敵にされてしまった面があります。

あと業者が出てきて仲介を始めたのもあって、彼らの儲けの分、より高くなってしまった面もあるのです。もちろん麻酔科医そのまま入るわけではありません。

 

こういう面もあります。

どこかの地主の息子がほとんど働かずに大金を得ていたり、商社マンの給料が高いんです、って聞いてもみんな何も感じない。

そういう自分の中で別世界の人が美味しい思いをしていたとしても興味の範囲外です。

同じ医者で、特に目の前にいる麻酔の医者が給料が高い、というのが多くの勤務医のルサンチマンを溜め込むわけですよ。

まぁ人間というのはそういうものですよね。

 

そういう声をかき消す医学界で本当に力のある医者が麻酔科からずっと出なかったというのはあると思います。

というか麻酔科の偉い人達も自分たちも麻酔のバイトしてるくせにフリーランス麻酔科医が嫌いで、フリー麻酔に対する怨嗟の声に対抗しようと全くしませんでした。

「麻酔科医の非常勤勤務によって手術が早く施行でき、それが国民の健康の増強に役に立った面があります」なんて公式に声明出したことないでしょ。

 

常勤医が心臓麻酔を外科医の納得するレベルで全然出来ないのでフリーランス麻酔科医がやってきてなんとか運営できている、なんて話はたくさんあります。

 

あと麻酔科医というのは、例え誰かの役に立っていたとしてもその声が全く広がらないんですよね。

内科の先生でも外科の先生でも、よく診てくれたら患者さんが感謝するしその声は何らかの形で広がります。それが医療政策なりに反映される可能性もあって。

例えば腰痛に困っていたおばあさんが脊椎のオペをやってもらって、すごく良くなったと。それを老人会とか習い事の会で話すんですよ。それが広がってその病院に来る人が増えて地域でちょっと有名になったり、オペ受けた人が地域紙なんかにその経験を投稿したり、まぁそういうことが起きる。

そういう声というのは例えばその病院なり脊椎外科を潰したりする際の抵抗勢力に当然なるはずです。

 

麻酔科が頑張っていろいろやっても患者さんにはその頑張り届きませんので、そういうところからのサポートは得られないんですよね。

麻酔科というのはそういう宿命があります。

ピンチになったときサポートしてくれるとしたら直接の受益者である外科医なんでしょうけど、まぁそんなこと期待できるわけないですよね。

別に感謝してるわけじゃないし。

患者さんと違ってドライです。

麻酔看護師でOKっていう人がほとんどでしょう。

 

f:id:cokermarin:20191111132651j:plain

 

これって、麻酔科業界にとっては本当にまずかったと思います。

周囲のサポート得られず、今後の医療費縮小の流れの中で肩身の狭い思いをし続けることになりそうです。

 

本当に賢い金持ちは、変に悪目立ちせずこそっと儲け続けているものですが。

不相応な大金を手に入れた貧乏人が身を持ち崩す、それとちょっと似ている気もします。