ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

「今の多くの麻酔科医の仕事を、10年後の麻酔科医もみんなやっている」と本気で思っているんだろうか?

こんにちは、コッカーマリンです。

 

今もたまに麻酔のアルバイトに行くことがあるのですが(普段は一般病院の常勤医です)、だいたいどんな麻酔にあたるかというと、とりあえずなにも起きなさそうな、硬膜外麻酔とかブロックもない、17:00くらいに終わりそうなオペです。

 

まぁ麻酔の導入・抜管で手こずることなんてないですよね。術中にだれかを呼ばないといけないようなことはないし、手術中はモニターをなんとなくみて麻酔器の前で座ってるだけです。

 

麻酔科医は万が一のときに必要で、そのために絶え間ない監視をしているんだ

と若い頃に叩き込まれ、まぁ確かにオペ室にそのタイミングで自分がいたから患者さんに有益な結果がもたらされたんだろうな、と思われることはたくさん経験しました。

 

といってもそんなに大した話じゃないですよ。

チューブがはずれて麻酔器のアラームが鳴っていたり、麻酔の深度が足りなくて血圧が急に200以上に跳ね上がったり、急に出血して血圧下がっていろいろしたり。

 

5分遅れたらまずかっただろうな、とかたとえ患者さんに結果的に何も起きなかったとしても術者がオペをやる気分に全然なれなくなるような事態が起きてただろうな、とか。

 

でもそれだけ経験してもやはり思ってしまうんですよ。

今普通の麻酔科医がやっている「絶え間ない監視」というのが今後もずっと麻酔科医の仕事であるべきなんだろうか、と。

 

他の麻酔科医のみなさんはどう思っているんでしょうか。

 

「45歳女性ASA1乳腺の切除術」みたいなのにも全部経験と責任のある麻酔科医が一人専属でつくというのが安全に決まっていますし、いろいろややこしくないでしょう。

いかしマンパワーの限界とコストという面で考えると今後10年スパンくらいで考えたときにあまりに医療資源の無駄遣いな気がします。

手術麻酔で起きるリスクは可能な限りゼロにしなくてはならないというゼロリスク信仰がそこにあるような気がします。

もっというと麻酔科医側の既得権益

 

モニターがすごく進歩したし麻酔に使う薬も昔と比べるととても良くなりました。

手術も低侵襲化がだいだいどの科でも進んで、要は何か術中に患者のバイタルサインに問題が起きる可能性というのは無茶苦茶減っているんですよ。

 

麻酔絡みのトラブルが起きるとかなりでかい問題になることが多いので、いくら可能性が低くても上のような議論はあまりなされることは現場であまりないんですが、僕は実はすごく大きな問題だと思います。

 

医療費がこれだけ高騰していて、一方で麻酔科医の給料がやり玉に上がっているのに、そういう議論を避けるのはおかしいですよね。

むちゃくちゃ簡単な麻酔をやって高い給料をもらいながら内心僕は「こんなのずっと麻酔科専門医がやりつづけるなんて勿体ない話だなぁ」といつも思っています。

 

フリー麻酔科医の先生なんて出来高なのでガンガン並列やってますよね。

麻酔の導入とかの時間はもちろんずらすんでしょうけど。

 

医局から"ちゃんとした"麻酔科医を派遣してもらってる"ちゃんとした"病院では並列しないのでオペの列数に対してたくさん麻酔科医が必要です。

そういう病院だと当直とかもきちんとした体制でやっているのでもちろんそういう意味でたくさん人員必要だったりもするんですが。

昼間のママさん麻酔科医の存在意義がそこにはあります。

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何も起きないオペ麻酔にずっとついてモニターを眺めているだけ、それによる疲弊というのもあります。

心臓外科の麻酔してるほうが疲れない、そういう面ありますよね。

 

麻酔科医がなにか起きる可能性が限りなくゼロに近いオペにどう関わっていくのか、麻酔科学会の偉い先生たちにはそういう視点で話し合ってもらいたいものです。