ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

外科医から「明日の午後のこの空き枠に開腹ドレナージいれていいですか?」と連絡がきた時。。

こんにちは、コッカーマリンです。

 

麻酔科がオペの枠を急に削減するとかいって困っている、麻酔科内の問題で人が減るのに外科は困っているどうにかならんのか、

みたいなツイートが少し前ちょっと話題になりましたが、(これは客観的にみても麻酔科側に問題があると思いますが、)この話を聞いて僕は外科医療を必要とする患者がきたときの麻酔科側(オペ室ナースも)と外科側の根本的な気持ちというか心持ちの違いってあるよな、と思いました。

 

麻酔科側は中央診療部門に分類され、どうしても気持ちが対患者というより病院という組織の方に属しているんだと思うんですね。

つまり痛いと訴える患者さんをまず診て、自分の専門知識からこの病気だと診断して「治してあげよう楽にしてあげよう」というモチベーションが外科医にはまず出発点としてあるわけですが、それが麻酔科にはないわけです。

 

タイトルにあるように「明日の午後のこの空き枠に開腹ドレナージいれていいですか?」みたいな連絡がひょっとPHSにくるわけですが、もともと「明日の午後は空いてるしのんびりしようかなー」みたいに思っていたところへエクストラの仕事が降って湧いたようにでてくるわけですから、ちょっと嫌な気持ちがどうしても出てしまいます。

どっちかというと"病院という組織に命令された職務"として麻酔が出発点になるわけですよ。外科医と全然違います。

 

時間がなくてもちゃんと術前診察に病棟まで出向いてその患者さんの顔をみていろいろ話を聞くと、なんか麻酔やる気になってたりするのを経験するので、この患者さんの問題を解決してあげたい、という純粋なモチベーションというのがちょっとでもあるのかないかはぜんぜん違うと思うんですね。

 

麻酔科診療、手術看護もそうかもしれませんが、そういう意味でモチベーションが保ちにくい仕組みは絶対あると思います。いくら当直あけでしんどくても、いきなり顔もしらないしゃべったこともない患者の麻酔を組織の命令に従ってしないといけないわけで、そういうのって辛いです。治ったってべつに感謝されるわけでもないですしね。

そんなんわかって麻酔科を選んでるんですけど、長年やるほどモチベーションを保つのがどんどん難しくなるんです。

 

医療従事している人のモチベーションは、患者さんが治る姿をみたり感謝されたり頼りにされたりするのに支えられている部分は必ずあるので、外科医と麻酔科医のその点での違いというのを理解することは、麻酔科医にとっても外科医にとっても重要です。

 

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外科医の先生にしたら緊急オペを申し込んだ時、そもそもなんであんなに麻酔科の先生は不機嫌なんだろうかと思うことあると思いますが、僕は一番の原因はそのあたりだと思います。

麻酔科医もオペが多いときに緊急がさらにきた時にいらっとしてしまうのは、そういうことが原因なんだと自己分析しておくといいかもしれません。