ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

子育て支援の所得制限の話の、僕が思う一番の問題点

こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。

 

岸田首相が一度は「異次元の少子化対策」の一環で議論を進めた、子育て支援の所得制限撤廃の話ですが、どうやら「撤廃反対」の声の方が多数派で、立ち消えになりそうです。

 

 

つまり、今後も所得制限は課され、収入がある程度多い人は子供を育てていても税金をたくさん取られるだけで、全く給付として自分には返ってこないということですね。

 

民主主義の多数決の仕組み、日本のこれまでの政治のやり方から考えると、今回の結果は全然不思議でもなんでもありません。まぁそうなるだろうな、と。

所得制限撤廃の話が出たときは、政府もさすがに変わってきたか??とはじめ思いましたが、そんなはずはありませんでした

 

しかし、これだけ「子育て支援の所得制限」の話が議論に上がって、結構社会的な関心事になったので、みんながこの話を知る事になり、それによる問題という新たな面が出てきたように感じます。

 

 

他にも知らない間にみんな搾取されているわけで、どうせ搾取されるんならこんな話知らなきゃよかったわけですが、知ってしまった。

所得が多い人(*資産が多いわけではない)は、今回のような話を聞くたびに、自分は国からガンガンお金取られまくって、国は全く自分のことは助けてくれない、という思いを新たにします。

 

時代はどんどん厳しくなり、手取りも減る中、非常に大変な子育てを頑張ってやっている。異次元の少子化対策をやる、なんて言っているんだから、自分の子供はきっと日本国がとても求めている存在であろう。

 

子育ては大変。お金もかかる。国が求めている存在を、大変な思いをして養育している自分に、国は何もしてくれない、どころかさらに取れるところをいつも探している始末

 

所得制限撤廃か?のあとの、高齢者層の反対により撤廃中止のぬか喜び感。

こういうことを繰り返すと、どんどん高所得者層の国への忠誠心というのは減っていきます

 

そういう内容を、職場で話したりするでしょう。所得が多い人の同僚は、所得が多い人が多いので、その不満というのは共有されるたびに肥大化していきます。

所得が多い人は、発信力も強い人が多いはずです。きちんとしたテキストで、発信力高くSNSなどで書き込みます。

 

綺麗事じゃなく、やはり所得が高い人がその国の雰囲気を決めます。

アメリカ人、としてイメージするのはやはりアメリカの高所得の人で、実は貧困層が日本なんかよりもっと多いですが、そうではなくてアメリカを引っ張っていっているのはシリコンバレーで働いているようなエリートなのです。

そういう人たちがみなアメリカの未来を信じ、アメリカを愛しているからあの国は強い。

昔の日本が強かったのも、皆が日本という国の一体性と未来を信じ、日本という国を絶対に守っていくんだ、と思っていたからです。

 

貧困層や高齢者、そういう人たちが存在してはいけない、というわけではありません。しかし、そういう人たちを守っていくためにも、元気で生産性が高く、たくさん稼いでたくさん発信するような人間が、日本を愛していて、未来に希望を持っていなくてはならないのです。

 

しかし、今の日本社会がやっているのは、まだ余裕の残っている元気で若い高所得者から、どれだけ搾り取ってやろうか?とあちこち探っているようなことばかりです。

これでは発信力のある人達は、ネガティブなことしか言わないし、SNSでも書き込まなくなります

国の雰囲気が、どんどん悪くなる。

日本の未来についてネガティブな発信しか目にしなくなる

 

自分の子供にも、「こんな国にいたらもうだめだ。私はもう逃げられないけど、お前は海外へ逃げろ」と言うようになります。

そう言われ続けると、子供というのはそういう気分になるものです。そして、そういう層の子供は、確率的には生産性の高い人間に育つ可能性が高い。

つまり、日本の生産性の源になる人間が加速度をつけて日本から消えていくことになります

 

これは、「子育て支援のお金がなくなるから、高所得者世帯20のうち1つが、3人目を作るのを諦めて、わずかに出生率が下がる」、みたいな目先の小さい話ではなく、目に見えない国力の、おそらく相当大きなマイナス要因になるであろう、と僕は想像します。

 

おそらく政府で政策を考えている人は、この時代のSNSの影響力を読み違えていると思います。

所得制限や所得制限撤廃議論がこれだけ話題にのぼってしまった以上、このブログで書いたような文脈から考えて、所得制限をやっぱり続ける、というのはとても悪手であっただろう、と思います。

 

日本はこれだけ少子化と言われているのに、実は東アジアの中では出生率はそこまで低い方ではなく、日本の子育て世代はひどい状況の中、すごく頑張っていると思っていい。

政治さえ舵取りを間違えなければ、30年くらい悲惨な時代を乗り切れば、まだ未来に立ち直る可能性があるだけに、とても残念だなと思わざるをえません。