ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

国は「医者の信用」なんてどうでもいいと思っている?

こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。

 

「自由診療」について少しTwitterで議論?になっていたので、少し乗っかって僕もいくつかツイートしてみました。

僕の「自由診療」(←つまり保険診療じゃなくて、自費で白玉点滴とか謎のがん治療を行う系のやつをイメージしています。後は病院でしかできないちょっと侵襲的な美容医療とか。)に関する考えは昔から同じで、そういうクリニックは「日本の医療」というものに対する、国民の中にある信用というものを利用して、そういう医療を提供している点が非常に問題なんじゃないのか?ということなんですよね。

 

 

今言われているエクソソーム云々だけでなくて、今までもあった美容皮膚科の一部もそういう意味では相当なことをやっているとは思いますが、金儲けクリニックだと患者側も分かっていても、一応医者が病院という形態をとった場所でやっていることなんだから、それなりの安全は確保されているだろう、と信じているわけです。だから高いお金を出しても行くのです。

 

 

クリニック側にはクリニック側の言い分が当然あって、そこに患者がいて助けを求めている、そしてそれを治療できるかもしれない自費診療があり、需要と供給が一致した値段で提供するんだから何が悪いのだ?というわけです。

 

EBMの考え方からいくと、百歩譲って"効きそう"という医療であっても、ちゃんと信頼できる試験をして、安全性や効能がしっかり証明された治療しかやるべきではない、ということになりますが、「エモーショナル」な医療ではn=1で自分が効くと思えばそれでいいんだ、となるわけなので、議論が全く噛み合いません。

 

 

自由診療をやって、なにかトラブルが起きた時自分で尻ぬぐいできなんだからそんなことをやるべきではない、という意見などもありますが、僕の意見は↑のツイートで書いたように、「病院」の信用力を使うな、ということに集約されます。

 

しかし、今日↓このツイートをみて、ちょっと意見が変わりました。

 

意見が変わったというか、よく考えたらそうだよな、と思ったんですね。

 

保険診療で医療費がどんどん莫大になり、それで国が滅びそうになっている。

かといって日本では今後新しい医療は一切禁止です!というわけにはいかない。

 

何らかの、"効きそう"なコストの高い新しい医療が出てきた時に、国民全員に提供するわけにはいかないけど、やりたいお金のある人に受けさせる自由を奪うわけにはいかないので、自由診療を中心にやる医療機関をある程度認めていく方向性が存在する。

国として、本当にそういう考えが本当にあるんじゃないかと思いました。

 

もちろん国が推進したいのはエクソソーム云々、白玉点滴系ではないとは思うのですが、何でも国の方針が決まるとそれをうまく逆手にとって儲ける人というのはいます。

 

我々のような保険診療しかしていない医者が、病院の信用ガ-医者の信用力ガ-とか騒いだところで、国からしたら保険診療で高額の無駄な高齢者医療費がかかろうが、自由診療の医者が大儲けしようが、別にどうだっていいわけです。

実際にこれまでの日本の医者がちゃんとがんばって国民の信用を勝ち得て今の医療がなりたっているのだとしても、その今の医療自体がもうかなり問題だらけなわけですから、「医者の信用」なんてものにも、もはや価値がないのかもしれません。

 

考えてみると、いくら保険診療がEBMでやってます、とはいっても、よくみてみると厳密でない適応で手術をしまくる病院だとか、薬を大量に出しまくって儲けている診療所、要するに儲けるために、全く医療としては合理的でないことをやっている現場はたくさんあります。

そういう文脈で見てみると、保険診療も自由診療も、程度の問題で、実は大して変わらないのかもしれません。

 

自由診療というのも、日本の場合結局は国民皆保険制度の問題点が制御できないまま育った結果生まれたものであって、実は自由診療vs保険診療、という対立構造じゃないのかもな、という気がしてきました。