ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

意味のある対策だけなされない不思議

こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。

 

これは先日なんとなく思った話です。

 

大きな病院ほど、やたらとミスをなくそうとルールだらけで、ダブルチェックにダブルチェック、意味がないとは言いませんが、すぐにほぼ形骸化してしまいます。

 

意味のあるのは、バーコードリーダーで患者のバンドを照合してGOが出なかったら物理的に次のステップに進めない、というようなテクノロジー(とコスト)をかけた、人間の力に頼らないチェック方法だけだと思います。

 

麻酔器の配管に使われる「ピンインデックスシステム」なんてのはわかりやすくて、間違ったガスの配管には絶対に刺さらない仕組みがあって、誤接続を防ぐわけです。

 

さすがに病院ではこういうのはしっかりとところどころ使われているわけですが、これは全然駄目だなというのもあって、内科処置の鎮静の際の安全対策など良い例です。

 

内科で割と侵襲的な処置をする際、患者を「寝かせる」(鎮静する)ことがあるわけですが、我々麻酔科医からすると結構大胆に薬を使われているので(内科の先生は鎮静の専門ではないので仕方がないですが)、案の定相当多くの事故または事故になりそうな案件というのはたくさん起きています。

闇に葬られた(やばかった症例)なんてのは、おそらくたくさんあると思います。

 

たまに鎮静麻酔を依頼されてやるとよく分かるのですが、要するに寝てくれて、多少しんどいことをしても動かない(処置の妨げにならない)レベルまで鎮静すると、息が止まる、正確には呼吸運動自体が止まる、というより舌根沈下やらで気道が通らなくなることが起こることがあるんですよ、というだけのことなんですね。

 

それを防ぐには、「患者さんの様子に気を配る」「SpO2のアラームに注意する」とか、まぁいいんですけど、それよりCO2センサーを患者の口元や鼻につけておくことが一番いいんですよね。

でもそれをやっている現場って少ないんですよね。もっと麻酔科医が手術室以外の鎮静麻酔の現場にいって、安全な鎮静を広めていくべきなんでしょうけど。

 

とにかく、意外とそういう一番意味のある方法が一番なされない、ということは他にもありそうです。

 

コロナ対策のこれもそうですよね。CO2つながりという点もたまたま同じ。

 

 

コロナが結局何が一番原因で広がるのかこんなにたってもまだハッキリとは分からないですが、風通しの悪い密閉空間が悪いというのはほぼ確実だといっていいと思います。

つまり、換気がちゃんとなされていれば相当感染のリスクを減らすことができると考えられます。

どんな形であれ、換気されていればいいわけなので、人が多く出入りするような場所にはCO2センサーを置いておいて、一定基準以下になればアラームが鳴るのを義務化すればいいわけです。

 

しかし、なぜかCO2センサーは"努力目標"みたいになっていて、実際どんなふうに運用されているか分からないパーティションとか手指消毒というような、意味のない対策だけはどこでもされています。おかしいですよね。

 

CO2センサーがあるお店ってあまり見ないですけど、やたらあの"謎手袋"を着けさせられるビュッフェなどはたくさんありますよね。

 

CO2つながりで、鎮静処置でのCO2モニタリングと、コロナ対策でのCO2モニタリングを思い出したわけですが、なかなか社会というのは実際にはほとんどは実際いつもそこにいる人間の「感覚」できまるので、合理的に進まないものですね。