ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

Infodemic-induced long-COVID?

こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。

 

Long-COVIDという、いわゆる「コロナ後遺症」と呼ばれる症状があります。

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いろいろなメカニズムが考えられています。↓

なかなか怖くなってくる。

一定数症状が残るような人いるんだなぁ、怖いなぁとなんとなく思っていました。

実際に親戚の知り合いの人で、コロナに感染したあとずっと日常生活に支障がでるほど疲れやすい、という人もいて、実際にあるんだという印象でした。

 

しかし、先日こんな論文を目にしました。

 

 

分かりやすく説明すると、自己申告による(検査をしていなくて、でも自分はコロナに感染したと思っている)COVID-19の感染者は、Long-COVIDの各種症状を有意に訴えるが、実際に検査で陽性になった人がLong-COVIDの症状を訴えることはそれほどでもない、という結果です。

論文では、COVID-19感染後の持続的な身体症状を自動的に新型コロナに帰すべきではない、と言っています。

 

確かに、もしコロナに感染したと思い込んで、なんだかずっと調子が悪くて、でもLong-COVIDのせいだと本人も医者も思いこんで、実は悪性腫瘍がありました、というケースなんて出てきそうです。

 

コロナ後遺症って、不定愁訴みたいなのが多いので、「世間でそう言われているし、体調崩してからずっと調子悪いし、もしかしてコロナ後遺症かも...」って思い込んだら、実際にそういう症状が出る人は一定数いるんじゃないかと個人的には思います。

 

それこそInfodemicの問題で、まだ確定していないようなことがやたらとSNSやメディアで流布されることで、むしろそっちの方が問題を引き起こすということがあるんじゃないでしょうか。

実際にはそんなにないから、むしろふわっとそういう話だけ広がりやすいという面もありそうです。

 

コロナは怖い怖い、感染対策みなさんもっと頑張りましょう、というのを強調するためにlong-COVIDの話も取り上げられることが多かった気もしますが、ほとんどの「コロナに感染しない人たち」に向けてそんなおどろおどろしい話を振りまくことで、むしろメンタルからの体調不良を誘導させる可能性については、ちょっと考えるべきだったと思います。

 

 

なんだか、コロナの始めの頃の、PCR検査を無症状の人にもどんどんやることの弊害(事前確率が低い群にたくさん検査をして、偽陽性者で混乱を助長する云々の話)の議論と似ているな、と思いました。

何も問題がない人に、いらぬ介入を加えることでむしろ大きな問題が起きるということです。

 

面白いのは、PCR検査拡大に反対していた人たちがむしろlong-COVIDの話をよくしていたな、、ということなんですよね。