こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。
最近Twitterをやっていて、なんとなく雰囲気の変化みたいなものを感じます。
以前はコロナがどういったものかみんなが分からず、医学に詳しいはずの医者達のSNS発信を参考にしようという感じがあったんですね。
みんなウンウンなるほど、っといった感じで黙って見ていた。
しかし時間が経って、どうやら医者だからといって、すごく医学的に正しいことをどの医者も理解して発信しているわけでもなさそうだし、単に「医者の多くの間で"正しい"ととりあえずのコンセンサスが取れたっぽいこと」に乗っかってつぶやいているだけじゃないか?ということがバレ?はじめて、実はほとんどの医者は別に大して分かってないんじゃないかと思われ始めている気がします。
医者っていっても、別に全然大したことないんじゃないかと。
それで、手を洗え、出歩くな、外食するな、人と会うな、ばかりを主張して、それを守らずコロナに感染した人を揶揄するようなツイートばかりしている医者クラスタ、これは今結構社会の中で"浮いた"存在になり始めているんじゃないか?と僕は思っています。
このツイートなんて、ドキッとしました。
中井久夫によれば、疫病が流行ったとき医療従事者が迫害される事例は中世ヨーロッパでも見られたらしいので、これは人類史的な深い問題なんだろうと思う。
— チー太郎 (@cheetaro3) April 1, 2020
先日"フジロックフェスティバル"が強行されたことなども、僕のタイムラインでは医クラを中心に大変な批判ぶりでしたが、確かにコロナの蔓延防止という意味では良いことではないと理解しつつ、僕の中では結構複雑なところがありました。
僕も医者ですし、医クラのツイートは大抵それだけとったら正しいと思うし、コロナの感染者数を抑えることこそ経済を動かすのに一番重要じゃないのか?と考えているのですが、僕たちが医者の目線からそう思うことと実際の社会で多くの人がどう感じて、どう動くか、ということとは全く一致してくれません。
コロナ感染防止がこれだけ叫ばれて、でも動かないと仕事がなくて食べられなくなる、その中でなんとか後ろめたい気持ちを持ちながら経済を動かしている人達にとって、SNSで感染防止のポリコレ棒で叩いてくる医クラ達をみたら、やはりネガティブな気持ちしか持てないと思います。
医療業界こそ、コロナ診療のキャパを増やさなかった諸悪の根源だ!とちゃぶ台を転がしながら訴えられても仕方がないんじゃないでしょうか。
もちろん、コロナによる悪影響は医療界のせいではなく、政府のせいでもなく、ましてや国民のせいでもありません。病気そのものが強すぎて、全員が倒されそうだ、というだけのことだと思っています。
みんなで協力しないといけない今、なぜか被害者同士がお互いに責め合い始めている、そんな空気を感じています。
感染防止的にはとんでもなくダメな行動をとって感染して入院してくる患者をみることがありますが、その人が行った飲食店の収益によって何人もの人が生活して自分の家族を支えていることを考えてみます。
コロナが緩んだ間に、リゾートホテルに行くという人もいると思いますが、そこの経営者は実は反ワクチンの思想を持っている人かもしれません。
そんなことは口に出さなければ分からないし、あなたは知らない間にそのサービスでリフレッシュしているかもしれません。
我々の感覚からいうとありえない考え方を持っている人も社会の中にいて、きっと気づかないうちにそういう人たちが作った付加価値の恩恵を受けているはずなのです。
経済というのはそういうものだと思います。
しかし一部の先鋭化した目立つ医者アカウントの中には、そういう視点がまったく感じられないものがある気がして、SNSの中とはいえ、いらぬヘイトを生み出している気がして懸念しています。
我々は知らない間にポリコレ棒を握っているんだ、ということをくれぐれも忘れないようにしないといけません。たかがSNS、といってもいまや本当にすごくたくさんの人がツイッターなんて見ていて、もうひとつの立派な社会であるといってもいいくらいだと思っています。
職業人としての医者からの視点でばかり物事をみないようにしよう、と最近よく感じています。