ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

新型コロナでの"自粛派"と"経済回せ派"の戦いについての個人的見解

こんにちは、コッカーマリン(@losgenedoctor)です。

 

先日水族館に行きまして、説明のパネルに「(ヒトの)経済は、生態系の一つである」というようなことが書いてあり、ハッとしました。

 

こんなことがまず説明されていました。

交配して子孫を残せるのが同じである。

でも同じ種でも生活する場所が全然違えば交配することはないので、実質的に一定範囲に生きる集団の中で遺伝子の交換が起きることになり、これを1つの個体群と呼ぶ。

同じ環境内で生きる、別々の生物種の個体群の集まりを生物群集と読んで、さらにそれを取り巻く非生物的環境も含めた概念を生態系と呼ぶ。

パネルをさらっと読み流しただけだったので、なんかいろいろ間違っている部分もあるかもしれませんが。

 

で、そのパネルに「経済」というのは、今やヒトという種やそれをとりまく生態系の一部となっている、ということが書いてあったんですよ。

なぜか新型コロナに関する経済の混乱と医療の切迫の問題が思い出されたんです。

 

ヒトは特にここ数百年で素晴らしく発展し、種が繁栄していることは間違いない。

「ファクトフルネス」にも書いてありますが、飢餓に苦しむ人はどんどん減っていて、致死的な微生物に対するワクチンも世界中に行き渡り、幼児が亡くなってすごく悲しい思いをする確率自体もすごく減ってきているわけです。

 

これは種として志向している方向性としか思えません。少子化などもこの結果らしいんですよね。

ちなみにイワシなんかはたくさん食べられてもたくさん産むことで種として生き残ろうとしているそうですが、まぁそうではないということです。

 

医療や公衆衛生の向上で、幼い命に限らず個体が死ににくくなったわけですが、なんでこんなことが可能になったかというと、それはひとえに経済の発展があったからなんですよ。

 

元気で若い人しか生き残れる食料しかとれなければ、年老いて自分で食べ物をとれない個体は死ぬしか無い。

食料がある地域でたくさんとれても、別の地域で全くとれなければその地域の人は死に絶えることになる。

そこでヒトは地理的・時間的な制約を乗り越える価値の交換のシステムを考え、今の大発展に繋げた、といえます。

それが経済です。

 

経済の発展により医療や公衆衛生に回せる余裕が生まれ、種としての生き残り戦略が上記のような形で実行できるようになった。

つまり今の地球上でヒトが命の心配をあまりせず安心して生きられるのは、そもそも経済が発展しているからで、生きるすべての土台であることを忘れてはいけないんですよね。

 

新型コロナで、「外出するな自粛せよ!」という声が大きい一方で、「コロナを怖がりすぎ、経済を回せ」という声もあります。

なんとなく見ている範囲では政府や、医療者は前者ですよね。で、例えば池田信夫氏とかホリエモンが後者の論者でしょうか。

 

ツイッターなんかでこの両者がやりあっっているのをたまに目にしますが、どちらが正しいとも間違っているとも言えないと思います。

 

例えばマスク1つとってもそうです。

みんなが安価で手に入れられていた使い捨てマスクは、経済が当たり前のように回っていたからこそ簡単に手に入れられていたものであることをまざまざと見せつけられました。

何もないところから不織布で使い捨てマスクを製造しろ、と言われても個人レベルではコストと労力が見合わないから作らない、作れないわけです。

 

医療関係者がみなで「自粛せよ、外へ出ないでくれ、医療崩壊する!」と騒ぐ一方で「PPEが手に入らない、ふざけるな!!」って怒ってもそれは矛盾であるとも言えるわけです。

ヒトが経済を止めるということはその生態系が崩れるということで、PPEももちろん生産できなくなるんですよね。

 

かといって、コロナによる死亡率はやはり現代人が許容できるレベルは超えていると思われますし、医療者はその前線に立っていますので、なるべくコロナ患者は増えてほしくないわけです。

例えば新型コロナに感染し、重症化したら諦めてよい(無理やり退院させてあとは知りませんでいい)んならいいんですが、実際には社会というのはそんな風にできていません。

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個人的な考えですが、今後も2,3年は自粛派と経済回せ派がせめぎ合うと思います。

 

経済回せ派が自粛派にばれないようにこっそり経済を回し、目に見えてまずいことになってきたらまた経済のアクセルを緩める。

えてして多くの人間はゼロリスク信仰に陥りますので、説明してわかってもらうなんてのは無理で、実際にはこうするしかない。

例えば飲食店が「うちは従業員に検温を義務付けていて、ちゃんと消毒して、なんと次亜塩素酸で空間除菌してます!」と宣伝して客を集める、みたいな。

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 言ってしまうと、実質的に意味あるかどうかはどうでもいいわけです。

しかしそこで経済が回ることで、社会全体にとって良いことも確実にあるんですね。

 

自粛派の「コロナによる死亡率はやはり現代人が許容できるレベルは超えている」という考えかたもアップデートしていくしかない。

ワクチンや治療薬、医療者同士の情報の交換によって「コロナによる死亡率」を少しでも下げ、メディアにうまく働きかけることでインフォデミックを防ぎ「現代人が許容できるレベル」が過剰にならないようにしていくことでしょう。