ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

日本の医者が公務員化する未来

こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。

 

今回はキーワードからの妄想といった感じの内容です。

あまりまとまらない気がしますが、とりあえず書き始めます。

 

コロナの猛威が止まりません。日本でもですが、アメリカなど海外の様子をみるともう「多くの人がワクチンを打って、コロナ、これでおしまい」とは決してならないんだろうな、という感じが出てきましたよね。

ワクチンの効果はあるでしょうが、僕もそのうちコロナに感染するのだろうか。

 

それでもイギリスやアメリカなどでは、もうコロナはいつでもあるものとして経済を通常通り回していく政治決断がなされているようですね。

でも、にしては接種率が低いと思います。数万人レベルでまた人が死ぬ可能性が高い。

 

日本はおそらくもっと接種率が上がり、もしかしたら90%くらいいくかもしれない。ブーストもちゃんと打つインフラをうまく構築できれば、西側諸国で日本一人勝ちになる可能性もまだ残されていそうです。

 

 

いま一部でさかんに言われているのは、日本の医療体制のパンデミックに対する脆弱ぶりです。

すぐに病床がいっぱいになるから、経済をちょっとしか回せずまた緊急事態宣言、ということは経済を壊しているのはダメな医療業界なんだ、という議論です。

 

医療業界にいる側として、反論できるポイントはありますが、確かにこれまでの医療業界の枠組みのなかでいくら頑張っても、基本的にはwithコロナ世界には対応できないだろうな、とは思います。

本当は根本的に変えていかなくてはならないんでしょう

 

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日本の医療機関は、国民皆保険制度の下、ほぼ公的な診療報酬体系で運営されているのですが、それぞれの病院が民間会社のように収益をあげようとします

儲けがないと、民間病院なら潰れるし、公的な大学病院なんかでもあまりに赤字が多いと上からメスを入れられるので、現場ではそれを嫌がってやはりで収益を上げようとします。

 

今の診療報酬体系ではオペをたくさんやるのが手っ取り早く収益につながるので、どの病院も沢山手術をやりたがる。

小さな病院でも儲けのために手術をやるので、一応急性期病院として患者を受け入れ、そのためにいろいろな設備投資がいります。人件費も。

麻酔科医がいないとオペができないので、手術をするためのボトルネックをつかむインフラとして、麻酔科医の給料が高かったりするわけです。

 

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その他のスキームとしては、急性期病院なのに療養型に入るような患者をグループ内で融通しあって、少しでも高い診療報酬をもらうというやり方です。とても悪い言い方ですが。

医学的妥当性がそもそもあるのか?(例えば95才の誤嚥性肺炎など)、と議論されると微妙でも、しっかり医者が保険病名を書けば診療報酬は支払われます

そうやって、国が作ったいろいろな仕組みを上手く利用して収益をあげる方法で生きながらえてきたわけですね。

 

それぞれの病院、というか法人は、どんな手を使ってでも存続することこそが至上命題であり、それはもう、たくさんのステークホルダーがいるわけです。

逆に言うと、医療機関にとって医療行為が生産性のある事とすれば、その生産性向上に供しない人が、実は医療法人周りにはたくさんいるということです。

 

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中小企業は概して生産性が低くて、日本のGDPが上がらないのはそのせいだと言われることがありますが、まさに日本のたくさんある微妙な"急性期病院"の生産性の低さも相当なものです。

コロナ禍においては、さらにそうです。

 

2000床の病院が頑張れば、挿管コロナ患者100人+ECMOコロナ患者10人はいけるでしょう。

しかし、200床の病院が10個あっても、多分全部合わせて挿管コロナ患者30人、ECMOなんて一台も無理だと思います。

 

要するに、集約化、これは必要になるでしょう。

いろいろなスキームを利用してそれぞれの民間医療法人が生き残る必要がなくなれば、医療のコストも下がります。先程書いたステークホルダー達はどうするんだ、という話はあるでしょうが、コロナで怒り狂った世論がそんなの許してくれるはずもありません

 

集約化が成って、医者を他の病院に取られてしまうリスクが無くなれば、医者の給料を高くして引き止める必要がなくなります

そしてその後国が決める診療報酬の引き下げがあれば、自動的に人件費は下がることになります。

 

そして、最後は医者の公務員化、ということになると思われます。ほとんどの医者は医者しかできないので、給料を下げられても甘んじて受け入れるしかないでしょう。

 

希望とか、こうあるべき論みたいなことを抜きにして考えると、こうなるであろうと考えるのが僕には自然に思えます。

 

それがいつになるのか、それは分かりません。いつだって、将来こうなる、というのは予見できても、いつそうなるのかは誰にも分からないものなのです。

ただ、最近医者の間でFIRE議論が盛ん話題にのぼったりするのも、みんなこのあたりを肌で感じているからじゃないかと思っています。

 

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