こんにちは、コッカーマリンです。
コロナウィルスの検査の話です。
SBGの孫正義さんがこんなツイートをして秒の速さで炎上していましたね。
新型コロナウイルスに不安のある方々に、簡易PCR検査の機会を無償で提供したい。まずは100万人分。申込方法等、これから準備。#コロナ検査有志
— 孫正義 (@masason) March 11, 2020
医者のフォロワーが多いアカウントは「基本的にコロナの不用意な検査駄目」という意見が当然多いので、医クラみんなから総攻撃されていましたね。
孫さんがお金だして不安な人に全部コロナの検査をして、軽症の人まで陽性がでて病院に入院しに来たら医療崩壊が起きて大変なことになります。
本当に医療資源を向けないといけない人に医療が十分提供できない事態に陥ってしまうようなことなので、これは明らかに間違ったやり方だったと思います。
孫さんもすぐに引っ込めていました。
しかし最近のツイッター世論があまりに「コロナは検査いらない」に傾きすぎていてちょっと疑問を感じています。
フォロワー数が多い医クラの「検査ダメ」意見の多さがちょっと異常だと思います。検査どんどんしろとはもちろん言いませんが。
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) March 12, 2020
検査をやると医療崩壊が起きる、その理屈は一部分かるんですが実際にそうなんでしょうか。
思考停止していないでしょうか。
医療者の中でコロナウィルスに関して「検査アレルギー」があるようにみえますね。自分が本当に物事をフラットにみているのか自問自答するべき。
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) March 12, 2020
イタリアが医療崩壊したのは検査をたくさんしたからだ、という意見が大勢を占めているようにみえるんですが、実際そうなのでしょうか。
人口あたりの病床数がイタリアは日本の1/4ですし、ICUのベッドに関しても1/3しかない。(下図)
単に感染者というか発症者がイタリアで多かった、それが医療のキャパシティを越えてしまった。
それが実情だと僕は思います。
なので当たり前ですが、検査をしないではなくて感染者を増やさないことが一義的には最も優先されるべきだと思います。
そもそも北イタリアの繊維産業に従事している中国人が多くいて、感染が爆発しやすい素地があったこと、医療がそもそも貧弱だったこと、それがイタリアで感染が爆発したことの理由ではないかと思うんですが、どうなんでしょう。
この新しい感染症に対して、変に楽観的だった国民性もあるかもしれません。
言いたいことは同意ですが全員検査したことが今のイタリアの惨状の原因ではないと思います。検査したからって挿管する人が増えるわけではない。 https://t.co/alb0hyLQbA
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) March 10, 2020
コロナに本当に感染しているかもしれない、となったとき人間どういう行動を取るか。実際にみていると検査から逃げようとする人が多いです。
社会生活を送っていて、軽症で動ける人です。
そういう人の何%かは、そんなに咳をしていなくても人にうつす能力があると推定されます。
いまコロナはほぼ「穢れ」扱いになっていて、確定したら普通の生活が送れなくなります。軽症でも入院勧告がなされますし、そのまま入院というケースが多いでしょう。
というのが分かっている一部の人は検査から逃げ回るんです。
病院も保健所も検査をいやがるインセンティブが十分にありますし、検査が適切になされていない状態が続いていると思われます。
咳してて調子悪そうでも仕事とかに来ちゃうんですね。
体温の報告なんてあるけど、あんなの大体自己申告だから分からないですよ。
サーモグラフィーおけるお金のある会社ってそんなにあるとは思えない。
とにかくそういう人がいる限り、感染の広がりをおさえることは難しいのではないでしょうか。
これが最適解に近いと思います。
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) March 12, 2020
たぶん今のやり方はコロナを目に見えない「穢れ」として扱っていて感染者を「あっち側の存在」として追いやろうとしている。
もっと検査して正しく陽性者を「見える化」して適切に扱う、そういうやり方も模索すべきでは。 https://t.co/uxBXhFmtvN
もうコロナに感染することは「当たり前のこと」として受け入れないといけない段階に来ています。
勘違いしてほしくないのは、だから諦めましょう、ということではありません。
みんながなるべく感染しないようにしないといけないです。
医療崩壊を防ぐ意味もあるし、ワクチンがそのうち開発されるかもしれないので、どうせかかるならそれ以降の方がいいに決まっています。
しかし、誰しもコロナにかかる可能性がある、ということを口だけでなくて真剣に理解しないといけない。
なので「コロナ感染者」を意識の中で特別扱いしてはいけない。
これは感染者を広げない、という意味でもとても大事なことだと思います。
少なくとも「検査をしない」のが最適解である、と勘違いしている人が多いのはあると思いますね。
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) March 12, 2020
コロナは軽症でも人にうつしてしかも動き回れるので、「陽性」だと動かぬ証拠を突きつけられたほうが感染に薄々気付きながら普段通りに生活してしまう人を止められると思います。 https://t.co/s7A8Ai5KRM
今人類はコロナウィルスという敵と戦っているわけです。
"敵を知り己を知れば百戦殆うからず" といいますが、戦うにはまず「敵を知る」必要があります。
世界中のラボでコロナウィルスの特徴がどんどん暴かれていっています。
現代のヒト側の戦士である研究者たちが、人類の未曾有の敵を攻略しはじめているのです。
そういう基礎医学な研究だけでなく、日本ではどのようなタイプのコロナウィルス(遺伝子の微妙な変化がおきていっているかもしれない)が、どのように広がっているのか、どのような人が日本の場合高リスクなのかというような研究をすすめていかなければなりません。
医者なら、本来病気という敵を倒そうとする気概を持ち合わせていないといけません。
検査をしない、ということは永遠に敵がよく分からないということです。
検査は駄目だということは、暗闇から攻撃してくる敵から逃げ回っているだけなのです。
現状の最適解が検査をむやみにやらない、それはもちろん分かります。
しかし、そういう考え方が医者として「正しい」のだと勘違いしないようにしなくてはいけないと思います。