こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。
昨日から韓国の女性DJの人のセクハラ被害の話題で持ちきりです。
あまりにも大きな衝撃を受けて未だに怖くて手が震えています···
— djsoda (@dj_soda_) August 14, 2023
その時、とても驚いて怖かったですが、
一方で私を見て泣いて喜んでくれて好きと伝えてくれる素敵なファンの方々もいて、一旦最後までやりきろうと最大限平気なふりを頑張りました。
今はホテルに戻ってきましたが、
未だにとても怖です pic.twitter.com/hS7BUzaeMc
フェスかなにかで日本にやってきて、観客に近づくパフォーマンスをやったら一部の客から体を触られて不快な思いをされたそうです。
これをSNSにアップしたので、いろんな意見の人が出てきて大いに騒ぎになりました。
今の常識がある人なら、まずこれは完全にアウトであることは誰にでも分かるでしょう。この女性がどんな服装をしていようが、認識が甘かったであろうが、アウトはアウトです。ハラスメントというか、犯罪行為といっていいでしょう。
ただ僕が気になったのは、後から後からでてくるポリコレ棒的な意見でした。
人の体に触る事のハードルが低すぎるし、自分が触りたければ触っていいと思っている人が多すぎる。
— 高橋怜奈/産婦人科医YouTuber (@renatkhsh) August 14, 2023
同性なら許されるなんて事もない。
・筋肉ムキムキの人の腕を『すごいねー』っていきなり触る
・妊婦さんのお腹を『いいわねぇ』っていきなり触る
・赤ちゃんの足を『かわいいねぇ』っていきなり触る…
言うか迷ったけど、
— GACKT (@GACKT) August 15, 2023
やっぱり言わなきゃ気が済まないから長くなるが読んでくれ。
DJSODAのツイートに
「派手な格好をしてるから」
「格好に問題があった」
などのコメントがあったが、
どういう神経だ??
それをやった人間は犯罪を犯しているわけだ。
10000%犯罪を犯している方が悪い。…
僕は彼らの意見が間違っているということを言いたいわけではないのですが、有名人やインフルエンサーからこういう表明がSNSでなされ、みんなが「それは正しい!」と大合唱し、少しでもこの"ポリコレ"の流れに反するニュアンスのことを述べると袋叩きにあいかねないこの状況にすごくアンテナが立ちました。
まさにこうやってポリコレが人々の脳に刷り込まれていくんだね。
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) August 15, 2023
100%「正しい」からね。 https://t.co/9uP5KccR8g
今の世の中は、「絶対的に正しいこと」をみんなで定義します。
人のことを傷つけないようにしよう、多様性を重視しよう、人の意見は自由である、人を見た目で判断するな、ありとあらゆるハラスメントは全部許されない。
「LGBTの権利」というような話題もすべてこの延長線上にある話です。
「LGBTなんて気持ち悪いよ」なんていう意見を書き込んだり、「この女性DJもこんな格好をしているから悪いんだよ」なんていうことSNSに書き込んだら、"間違っている意見""頭の古い旧世代の打倒するべき人間"と認定され、一斉に攻撃されます。
攻撃している人達はポリコレ棒を振り回す快感を感じられるし、正しくて新しいことをやっている自己肯定感で満たされるわけです。
正義仲間もたくさんいるし、絶対的な正義の答えを自分が持っているので、議論になっても100%負ける気がしない。
今のポリコレ社会が目指すところは要するに「みんないい人になれ」ということです。
人のことを傷つけないようにしよう、多様性を重視しよう、人の意見は自由である、人を見た目で判断するな、ありとあらゆるハラスメントは全部許されない。
社会のメンバーみんながいい人になって、全員がこれを達成しなければならない。
それに反するやつに対しては、常に世界のどこからでも見えるインターネットの世界で無茶苦茶に叩いて正義の鉄槌を下さなければならない。
大げさなようですが、本当にみんながこう思っているのです。
今回のDJの人を触った観客の人に対しても、名前や過去の言動を特定し、土下座レベルで謝らせ、謝らなければ人生終了レベルに追い込まないとみんな気が済まないのです。
こういう世界で我々がどう生きれば良いのか。結構考えます。普通に生きていても、刺激的なものがどんどん目に入る機会は増え、良い感情悪い感情その他の感情、いろいろな感情を無理やり引き起こされることは増えています。
DJSODA知らない人の為の参考動画 pic.twitter.com/Hpi7Rq0tjR
— 𝑶𝒇𝒇𝒊𝒄𝒊𝒂𝒍イクラちゃん𝒊𝒔𝒎 (@Official_ikura) August 15, 2023
別にアダルトサイトを見ていなくても、SNSを眺めていたらこういう動画が「おすすめ」などで流れてくることがあります。
男性が好きそうな映像に限らず、いろいろな感情を引き起こしやすい情報が常に入ってくる。
そしてそういう情報は、人間らしい理性で理解して興味深いなと思うような種類のものより、動物的な感覚で気持ちの良い(あるいは悪い)種類のほうが多いはずです。
みんながポリコレ社会で「いい人」「立派な人」に進化したわけじゃなく、元来人間というのは愚かで、動物的な快・不快の感覚でほとんど生きている生き物だからです。
直感的に「気持ちよさそう」な情報に目が行って、本来自分にとって別に必要のない感情を引き起こされ消費させられる。
それが今の資本主義社会を支えている、という面もあります。
大衆から、大衆が生きるために必要でないものを如何に引き出して消費させるかが今や経済を支えている。
ネット社会では常にそういう情報に我々は囲まれています。SNSという増強装置も発明され、とどまるところを知りません。
動物的で原始的な感情を引き起こす中に生きていて、普通に感じることを素直に表明してしまったら、実は自分の知らない「ポリコレ」に抵触してしまって、人生終了させられてしまうかもしれない。
大げさに言うとそういうリスクの中に我々はさらされているのです。
「常にそそのかされていて、うっかり不注意をやらかすと、とんでもないしっぺ返しを食らう」
よく考えると結構怖い社会です。僕自身はネットと共に育ってきた世代なので、こういう社会でやらかしてしまう心配はしていませんが、自分の子供にはうまくこのあたりのことを教える必要はあるなと思っています。
そして僕がここで書いているような文脈を全く考えたこともなく、こうい考え方があるんだと理解しようともしない人がおそらく大半だということがポイントだと思います。
ポリコレ棒を振り回している限り自分は社会の"正しいメンバー"であり、正義の執行者である感覚はいつまでも相手の意見から自分の耳を閉ざしてしまいます。
何度も言うように、我々のほどんどは全然立派でも正しくもない、ただの愚かな人間に過ぎないのに、です。
なので「自分の頭で考える」習慣をつけないまま、こんな社会の中に飛び出していってしまうと、"ポリコレ脳"のまま社会の有象無象の一部となってしまう可能性があります。
炎上して土下座させられるより、むしろこっちの方が怖いかもしれません。