ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

勤務医は労働者

こんにちは、コッカーマリンです。

 

一般病院であれ大学病院であれ、病院勤務医はたいていなんらかの〇〇科という部門に所属していると思います(当たり前ですが)。

 

あちらこちらの麻酔科を見渡してみると、うまくいっているところあんまりみません。

うまくいく、というのはベテラン、中堅、若手がそれぞれバランスよくいて、みんなが互い刺激しあって互いを向上させる雰囲気があって人間関係もうまくいっている、というような意味ですが、なかなか難しい。

 

中堅がいつかないとかベテランばっかりとか若手ばっかりとか、人間関係が悪くてあんまり口をお互いきかないとか、とにかく実際はそういうところが多いです。

多分麻酔科だけじゃないとは思うんですが。

 

よく考えてみたら、なんでかな、と思うわけです。

みんななかよくしたらいいのに、と。

同じ専門科として、難しい症例に一緒にあたったりする、それはとてもメリットです。技術が上の人が下の人に教える、これももちろん当たり前のようにあることです。

 

これは医者という仕事に特有の面があるんじゃないか、と思うわけです。

医者のやっていることはそれぞれに尊重されなければならない、というこの世界の暗黙の了解があると思います。同じ問題に対してもいろんなやり方があり、それぞれのやり方を互いに否定するとまずいわけです。

 

研修医とか研修医に毛のはえたくらいの医者はいろいろ怒られる機会がありますが、それ以上になると全然ダメな医者でも注意されにくくなるんですね。僕だって自分の麻酔のやり方を否定されたら腹たちますよ。

だからどんどん年数が経つと医者は自分のやり方にむしろ固執するようになる傾向があると思います。

 

ここで思うに、通常の会社の仕事だと明確にうまくやる人は大きな契約をとれたり、目に見える結果の差が否応なく出てくると思うのですが、医者のやってることは基本的に決まりきったことのなかで行われるのでどんなにやり方まずくても大抵結果として差が出ない面があると思うんですね。

つまり明確に自分がダメである、と示される経験があんまりない。

 

麻酔でも、すごくうまく麻酔をかけても下手くそに麻酔をかけても、ほとんどの場合患者さんの治療にはそこまで大きくは影響しません。

下手な麻酔科医が面と向かって怒られてフィードバックされることなんてなくて、こそっ更衣室くらいで悪口いわれる程度でしょう。

 

部署の責任者である部長がちゃんと指導すればいいんでしょうが、今どき嫌われてまで部下に嫌なことを言う部長って結構少なくなってきました。

昔のようにキツく部下にあたると、みんな医局なんて入っていないのにすぐやめて他のとこいっちゃうんですよね。

 

ほとんどの勤務医は皆労働者の意識で働いているのが現状だと思います。

本当は、発想を投資家目線に切り替え、自分という商品の人的資本を最大限に増大するためにはどうすればいいか?ということを考える必要があります。

 

・自分がやっていることは医療という世界の中のさらに一部の〇〇科での技術にすぎず、それだけだと大した市場価値は実はないということを理解する

・下手に虚心坦懐になって新しい技術を身につけ、武器を増やしておく

・新しい人脈を作り、新しいビジネスに広げられる可能性を高めておく 

 

これまでは医局で無理やり人が入れ替わっていたのでマンネリ化することもありませんでしたが、今は人がむしろ動かなくなってしまい、そこでおんなじことをやり続けているだけのモンスターみたいな医者が実は増えています。

 

〇〇科でのこんな技術であなたより経験がある、だけではもう指導者としては十分ではないといえるのではないでしょうか。

 

自分を投資先として見た場合に、いかに価値を最大限にできるかという視点を与えることができるかどうか、それがこれからの指導的な立場につく医者にとって必要なんだろうなぁ、と思います。