こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。
この間こんな本を読んで学びがありました。
この本はおすすめ。今回の世界的なインフレの本質が何なのかが分かる。そして日本の経済が今後どうなっていくのか、今がとても大切な時期であるというのも分かった。もしかしたら失われた30年がが今回のパンデミックによって取り戻せるかもしれない。https://t.co/xXHSe8CuX7
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) January 18, 2023
今世界で起きているインフレの原因はないか?
利上げしても景気後退しても、なかなか収まらないこの物価の上昇、なぜなんだろう?
この本を読んですこし分かった気がしました。
ちなみに今回のインフレは、多くの経済学者にとっても結構難しいテーマで、非常に興味深い現象であるようです。
僕なりに理解したことを要約してみます。
まず需要や供給要因を決めるものとして、消費者、労働者、企業を考えます。
労働者と企業が供給、消費者が消費。
消費者は、同時に労働者でもある、と。
コロナのパンデミックにより、消費者が世界同時に行動変容を起こしました。「サービス消費」から「モノ消費」へのシフトです。
家からでて旅行へ行ったり友達とご飯を食べるような行動は減り、家で在宅ワーク、パソコンを開いてTwitterを眺め、スーパーに行って高級な食材を買ってきて自分で作る、テントとRV車を買ってキャンプに行くみたいなライフスタイルに変わった。
人から受けるサービスや経験のような、形のない物にお金を払うことから、実際の物にお金を使う。Twitterにはお金を払いませんが、パソコン周辺機器なんてすごく買う人がここ何年か多かったと思われます。
ともあれ、「モノ」を買うことが圧倒的に増えた。それも、世界同時にです。
労働者は強制的な隔離や、コロナにかかりたくない恐怖で職場を離れる、アーリーリタイアなどで仕事をしなくなった。パンデミックが終わりに近づいても、アメリカなどではいまだに人手不足が深刻です。
問題は、「ロングソーシャルディスタンス」というらしいですが、パンデミックが終わろうとしているいまでもそいういう消費者と労働者の行動変容が変わらない、ということです。
サービス消費からモノ消費へとシフトしたトレンドの変化は、簡単には戻らないかもしれません。
企業もコロナによる影響で、港湾でのコンテナ渋滞などにはっきり見て取れるようにグローバルな商品供給網に隘路が発生しました。
これまでの世界的なデフレの原因は、人件費の安い途上国で生産してモノを運ぶというグローバルな供給網があったからこそだったわけで、そこがやられてしまって商品の供給能力が落ちた。
これには、ロシアウクライナ戦争も拍車をかけました。各国は、ブロック経済とまではいきませんが、地政学的な理由である程度限られた範囲でしか物が自由に流通しない形に変わってきています。
これもグローバル化に逆行する流れで、インフレに寄与します。
労働者が働かず、グローバル経済を使った大量商品供給ができなくなったことで、供給が減った。
需要に関しては、人々がサービスからモノに消費性向が変わったのなら、サービスにいっていたお金がモノにいくだけなんだから総量としては変わらないような気がしますが、そうではありません。
ここが僕が一番面白いと思ったところなんですが、人々の消費性向は急に変わるが、資本と労働者の移行(この場合、サービス業→製造業)はすぐには変わらない、ということなんですね。
サービス業は特に人の人件費がメインを占めますので、サービスを減らすということはすなわち人の給料を減らしたり首切りをするということで、その人達をすぐに製造業へシフトする、というのは簡単なことではありません。
経済学では賃金の下方硬直性というらしいですが、ともかく、需要の急な変化に対し、供給は急には変化し得ない、というのが今回のインフレの肝である、ということが分かりました。
この人々の消費性向の変化、ということがどのくらい続くものなのか、どのくらいの規模で起こるのか、まだ先行きは分からないことが多いですが、今の所思ったよりも長引いていると考えたほうが良さそうです。
過去のパンデミックによるインフレ(パンデミックのあとはインフレが起きるものだそうです)を参考にすると、今回のインフレは最大20年続くそうです。
大変なことですね。
デフレに苦しんだ日本にとっては、実は外圧によるインフレというのは長い目でみるとそんなに悪いことばかりでもないようですが、給料は増えずインフレだけ起きるスタグフレーションになると、もう余力のない日本経済は目も当てられない状況になりそうです。