ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

必死で経済成長しなければならない理由

こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。

 

ネットでよく見る経済オンチの人のちょっとずれた発言をみていると、そもそも根本的な経済の原理を分かっていないんじゃないかと思うんですよね。

現代社会は信用の創造で成り立っていて、私達の生活、私達が目にするものすべてが、その創造された信用によって出来上がっていると言っていい。

 

例えば。

近世以前に、ある都市で赤痢が大流行してたくさんの被害が出たので、赤痢の特効薬を作ろうという人がいたとします。

 

その(現代風に言うと)起業家は、お金を使って研究者や研究施設を作る必要があるわけですが、その資金を出してくれる人が必要です。

街の有力者、肉屋や、本屋の主人など、そういった人から資金を募って、成功したら利益の分け前をあげよう、と持ちかけるわけですが、失敗したら投資してもらったお金は消えてなくなってしまいます

 

普通の人はそんな専門的な事業が成功するか失敗するかなんて分かりません。その起業家が信用できるかどうかだって分かりません。

なので資金は投資されず、また次の年も赤痢が大流行して、お金をあの時出さなかった人たちの家族も赤痢で死んでしまったかもしれません

 

近世以前の社会はこれを許容していて、だからこそずっと長い間世界の経済は停滞(今からみると、ですが)し続けていたわけです。

新大陸発見、産業革命、みたいな大きなイベントがないと、経済全体のパイが飛躍的に大きくなることがあまりなかった。

200年前までの世界のGDPの伸びというのは、今から考えるとすごく控えめなものでした。

 

現代の資本主義の世界では、そこで「銀行」「投資家」という、どんな事業であれその成功確率を評価することを専門にした人たちが現れて、成功して投資資金が回収できる確率が、失敗して資金を失う確率を上回った場合に資金が投入される、という仕組みができあがります。

 

これが実に画期的な仕組みで、特にここ100年くらいの世界の経済は、それによって飛躍的に発展し、より多くの人間がこの地球上で生きることが可能になったのです。

まさに、信用によって価値が創造され、その信用は大抵の場合ちゃんと期待通りの結果をもたらしてきた、とも言えます。

 

しかしここで問題は、自分に100億円の資産があったとして、100億円の利益が出る確率が90%、100億円の利益が出る確率が10%の投資案件があった場合に投資するかというと、まず無理だということです。

資産がゼロになる確率が少しでもあると、そういったお金は動かないのです。

 

しかし、現代的な「銀行」「投資家」といった金融機関は巨大なので、たくさんの案件を集めてリスク管理することで、一つの事業がたまたま失敗した場合にすべてがクラッシュしてしまうような事態を避けています。

 

ここで前提として重要なのは、たくさんの案件を集めてくれば、利益の期待値が損失の期待値を上回る、ということなんですよね。

もちろん各案件について成功の確率を吟味して投資するわけですが、たくさんの案件を集めれば集めるほど、その成功の期待値というのは、その時の社会全体の経済成長に左右されてくるのです。

 

社会全体の経済成長がマイナスになってしまうと、これまで通りの基準で選んでお金を投資すると、損失の期待値の方が上回ってしまう、ということになります。

なので、できるだけリスクの少ない投資先だけにお金を回すようになるか、全体の投資額を減らそう、といったことになるわけです。

 

まさにリーマン・ショックの時などにおこった「信用収縮」で、これが起こるとお金がこなくなったビジネスは頓挫し、新しい価値を創造できなくなります。

社会が赤痢に苦しめ続けられる、というようなことがまた起こるということです。

 

新しい価値が創造されないので、それに関わって生まれるはずだった他の需要も縮小し、さらにマイナス成長が大きくなって、信用収縮が更に悪化して、という負のスパイラルに陥るわけです。

 

なので、経済が僅かであれ成長し続けることが、今の生活を皆が送り続けるために重要なのです。

フラットではいけないわけです。

これは個人が望む望まないとに関わらず、資本主義に支配された現代に生きる人間すべてが許容しなければいけない事実です。

 

コロナの感染者数をカウントすらせず、医療崩壊をもう定常状態として受け入れ、経済活動を無理やりのように正常化させているヨーロッパやアメリカで、なぜそこまで経済を優先させるのか、ということの根本的な理由はこういったところにあります。

 

今欧米は、コロナに際してとった誤った政策も一因である"インフレ"に苦しんで大変なことになっていますが、とにかく経済活動とコロナ対策の程度の議論をする際に、上に書いたような知識は当たり前のように持っている必要があります。

 

生き方

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