こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。
今日はえらくこのツイートが燃えていましたね。
最悪なのは,10分圏内に総合周産期があって,ローリスクな分娩を山のようにやって荒稼ぎして,ちょっとしたハイリスクや分娩後出血があると,すぐに総合周産期に送るからウチでの出産は安全と豪語している産科病院. https://t.co/ioa8Cej5xw
— 松田 祐典 Yusuke Mazda MD PhD (@yusuke_mazda) July 14, 2022
正直これをはじめ見た時、そんなに問題がある内容だとは思えなかったんですが、批判的な引用RTが多かったのでみてみると、なるほど、たしかに否定的に見る人はそういう反応になるかな、という気がしました。
基本的に大学病院や三次救急病院、NICUのあるような大きな施設にいると、スキルアップもできるし、優秀な同僚と切磋琢磨でき人脈も増え、最新の医療機器なども使えて、箔もついたりするんだけど、その一方で仕事はブラックになりやすいという傾向があります。
一方ハイポ病院と言われる楽でややこしい経過になりにくい患者ばかり扱うような病院で働くと、9時5時で待遇はいいけどやりがいは全然ない、というような傾向があります。
大変な病院にいると、なぜ僕はしんどくて大変なのに給料が少なくて、あそこは楽なのに給料が高いんだ?という矛盾を感じてしまうのですが、実はこれは全然矛盾ではなくて、当たり前のことでもあるのです。
施設から来た95才の人の骨折のオペをしても、妊婦さんを助けても、もし保険点数が同じなら病院に入る収益は同じです。
つまり、労働者としての医者が病院に提供できる「価値」が同じということです。
それに対して病院が医者に返せるのは「給料」+「やりがい」+「その他もろもろ」なわけなんですが、その他もろもろ(医局の縛りとか、職場環境とか)はケースバイケースなので無視するとすると、いわゆるハイパー病院というのは「やりがい」が多い分「給料」を少なくできるわけです。
とはいっても、件のツイートは、僕はそういうのを全部ツイ主が分かった上で敢えて言っていると僕は思っていました。
全部わかっているんだけど、安全の担保の一端を担っている我々を利用して集客しているような態度は許せんわ、ということじゃないかと。
まぁ否定的な反応している人は、こいつはそういうことを分かってない奴だからとっちめてやろう、っていう感じでやってましたけど。
結局のところ「誰々」が、「○○というツイート」をしている、という情報だけでみんな反応するわけですが、「誰々」部分と、「○○部分」の組み合わせで、みな数秒から数分で否定的に感じるか肯定的に感じるか決めているわけです。
「誰々」は、なんとなくこいつ普段からいけ好かない奴だな、と普段から思っていたり、相手の属性が気に入らなかったり。
「麻酔科医である」、「女性である」、「オッサンである」、「フォロワーが多い」というようなことだけで否定的に見始めたりする場合があるわけですよ。
ツイートの○○部分も、140字以下のツイートですからね。どう読み取るかは、ほとんど読んでいる自分の中にもともとあると言っていい。
僕も人のツイートに対して、始めから否定的にみていたりします。脳が瞬時に快不快を判断してしまうんでしょうね。
ツイッターは楽しいツールですが、かなり限られた情報から人間の特性に左右されて目に入ってきているんだ、ということを意識しないといけないな、と思いました。