ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

株主資本主義の否定が何故まずいのか

こんにちは、ロスジェネ勤務医(@losgenedoctor)です。

 

岸田さんになってから日本株式市場は良いことなし。各個別銘柄いろいろみていると、日経平均株価の下がり方以上にダウントレンドになっている企業が多く、なかなか買い時がないなぁ、という印象です。

 

株式投資をやっていない、もしくはインデックス積立くらいしかしていない、という人はもしかしたらピンとこないかもしれませんが、岸田首相の「新しい資本主義」、特に株主資本主義の見直しということの何がそんなに問題なのか?ということの僕なりの理解を簡単に示します。

 

ある起業家がビジネスを思いついたとします。世の中を便利にする商品ができそうだ。

アイデアはあるが、この商品を作るには、銀行から借りる以外に10億円が必要であるとします。

自分にはお金がないので、投資家に依頼することにします。10億円分の株式を発行するわけです。

起業家は10億円ゲット。投資家はこの会社の株券(現時点で10億円前後の市場価値)をゲットする。

 

投資家は、銀行に貯金しておくより、ビジネスの利益から配当金がもらえたり、そのうちこの会社が将来100億円のビジネスに成長することが見込まれて、はじめに投資した資金より高く株式が売れるかもしれません。

こっちが「儲かる確率」の方です。

 

でも「損する確率」もあって、上場させたは良いけど業績がどんどん落ちて、10億円の価値があった株券が5億円じゃないと誰かに買ってもらえなくなったり、会社の利益がでず、配当がなくなったりするリスクです。

そうなると10億円が5億円に減ってしまったり、下手したら倒産してゼロになってしまったり、10億円というお金を配当ももらえず単にずっとタダで貸しているだけの状態になったりするわけです。

 

資本主義社会では、株式市場は非常に効率的に作られていて、この「得する確率」と「損する確率」が実に絶妙にバランスがとれています

みんな、お金とても大事なので、必死で考えるからですね。

無茶苦茶高いものが安く放置されていたりとかいうのは、思っているより全然ありません。

 

バランスが絶妙にとれている、ということは、どちらか一方だけが減ったりすると、一気に崩れるということを意味します。

株主も、株式市場が濡れ手に粟でとても儲かるからやっているわけではなくて、微妙に儲かるか儲からないかのラインで投資しているわけです。

そこへ、自社株買い規制とか、金融所得税を上げるとか、要するに「儲かる確率」の側だけにネガティブなことをすれば、一気に「損をするリスク」の方へバランスが傾いてしまうのです。

 

そうなると、少なくともバランスが崩れたその市場へは投資資金が回ってくることがなくなります。損をするリスクの方が高ければ、当たり前です。

今は世界中の株式市場がシームレスにどこからも投資できるので、日本市場へは資金が回ってきにくくなるわけですね。

 

もっというと、損をするリスク側に傾いた市場は、何かの拍子にググっと上げるリスクが少ないので、世界に投資しているファンドの絶好の「ショート」に使われます。つまり日本だけが株式市場にマイナスなことをすると、その影響は思ったよりも大きくなるということです。

 

はじめの起業家の話にもどると、投資環境が変わったので、その投資家は10億円を投資してくれないということになります。

きっとアメリカや中国の株をかわりに買ったのでしょう。

その起業家は、自分が10億円損をするわけではありませんが、その商品を作れなくなります。

作っていれば、たくさんの従業員を雇えたかもしれないし、利益から税金を納めてくれたかもしれません。取引先が生まれていれば、それららの会社の売上にも貢献したはずです。

そのうち商品を海外に売り出して外貨を稼げたかもしれませんし、そもそも商品を使った人の生活も便利にできたかもしれない。

 

会社ができなかった分、景気が悪くなってGDPは下がります。そういう意味でも当然外国人投資家が日本株を買う量が減るでしょう。

雇われなかった従業員が払うはずだった税金も減ると考えられます。

 

以上を考えてみれば分かるように、起業家と投資家というリスクをとる人がいるからこそ経済が成長して、国も豊かになるのに、そこに対してネガティブなことをすると、加速度をつけて経済全体に悪影響を及ぼす可能性があるということです。

 

 

 

資本主義の本質は「複利」「レバレッジ」であって、株主資本主義に対して少しでもネガティブなことが起こると、逆にレバレッジをかけて経済が崩壊する可能性があります。

今の政権が、そのあたりを全く分かってなさそうなので、株クラはいろいろと反岸田で騒いているわけです。

ぼくもよく分かります。

 

コロナは医療の問題ではなく、社会問題なので、緊急事態宣言云々を語るなら、最低限これくらいのことは分かっていないと何かを言ってはいけません。

岸田総理やその周りのブレーンも、しっかりと市場の反応を見て、軌道修正すべきは軌道修正していっていただきたいなと思います。