こんにちは、コッカーマリンです。
前回のエントリーで麻酔科の診療報酬の話でしたが、今回の診療報酬の改定で変化のあった部分についてみてみます。
前回のエントリーでもあったように、麻酔に関してはL00○あたりですね。
みてみます。
結論からいうとあんまり変わっていないですね。
まず、L001-2「静脈麻酔」のうちの3(複雑な場合)の点数が増えていますね。
800点から1100点。結構上がってます。
"常勤麻酔科医が専従でついて、酸素をマスクで流して、点滴からドルミカムとかプロポフォール入れて10分以上寝かせてたら取れる"やつです。
正確には麻酔器から酸素流したら全麻になっちゃうので、麻酔器の回路と独立した回路から酸素流してないとL001-2の3にはなりません。
しかしなんでここの点数増やしたんでしょうかね。
全麻からMACへ移行させたい、ということなんでしょうか。しかし全麻にしたら6000点とれるのに、全麻と静脈麻酔の境目が曖昧な現状ではわざわざL001-2 3で算定しようとする施設はあんまり無い気もしますけど。
今回の診療報酬の改定で「複雑な場合の静脈麻酔」の点数が38%も上がったので眼科の麻酔の近くに居るだけ麻酔の需要が増えるかもしれないですね pic.twitter.com/au23IqeBUd
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) February 9, 2020
あとはこれまで神経ブロックを全身麻酔に併用して行った場合、45点(450円)が算定加算できたんですが(材料代も出ません...)、次の改定からいわゆる「麻酔困難患者」に神経ブロックを行った場合については450点(4500円)を算定加算できることになるようです。
例えばBMI35以上の太った人にTAPブロックしたら450点、ペースメーカー入れてる患者さんに腕神経叢ブロックしたら450点加算できる、、みたいな感じです。
うーむ、これは意図が本当に良くわかりませんね。区域麻酔学会が頑張ったんですかね。
ともかく麻酔科診療報酬的に「 麻酔困難患者」に分類されるかどうかは結構重要なので、そのへんの戦略は多少考えていったほうがいいかもしれません。
それにしてもいわゆる「麻酔困難」患者の全麻にブロックした時に45点プラスだったのが450点プラスになる、という改定の意図するところが全くわからんのですが pic.twitter.com/L8vmp9uIBy
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) February 9, 2020
ちなみに「麻酔困難」に該当するのはこういう人たちです。
— ロスジェネ勤務医 (@losgenedoctor) February 9, 2020
特にブロックをしたら利益がある人たちとも思いませんけど、ブロックをよくやっている施設ならこれまで以上に「麻酔困難患者」の選定をしっかりしていった方がいいんでしょうかね。 pic.twitter.com/PiqoB2FOlI
あとは長時間麻酔加算といって、特定のオペで長くなったときに加算がつくんですが、対象となるオペの種類が増えたとか、そういうくらいです。 これは大したインパクトないですね。
今回の改定でも薬価を引き下げて、本体部分は上げる、という方針だったみたいです。目玉は診療報酬引き上げた部分で医師の働き方改革頑張れ、みたいな感じのようですがいかにも役人が考えそうな茶番ですよね。医者の働き方をコントロールできて嬉しいんでしょうかね。
ともかく二年に一回しかない改定でこの程度のほとんど変わらないの連続ではまったく医療費の増大に根本的なメスを入れることにはならないでしょう。
というか誰も本気で日本のために医療費をバサッと斬る、みたいなことをやるつもりが無いんですよ。
一日本人としては将来をさらに不安にさせるような内容ですが、自分のことだけを考えればまだまだ安泰だな、と思わせる内容でした。