ロスジェネ勤務医の資産形成ブログ

ロスジェネ世代麻酔科医師のコッカーマリンです。資産形成や日々のことについて感じたことを書き綴ります。

サウザーラジオを聞いた研修医たちに言いたいこと

こんにちは、コッカーマリンです。

 

voicy.jp

 

最近Voicyのサウザーラジオ、聞いてるんです。

始めから通しで聞いてて第60回くらいまで聞いたんですけどこれが面白い。

勤め人を卒業して経済的自由を得たい

というサラリーマンなら誰でも夢見る話を、実際にそれを叶えた「サウザーさん」がラジオパーソナリティとして話してくれるわけです。

ラジオと言うか、バックナンバーも全部聴けるので無料のオーディオブックとかポッドキャストと考えたほうがいいかもしれないですね。

 

経済的自由の話もとても興味あるんですが、僕はサウザーさんのちょっと脱線したときの歴史の話とか兵法の話みたいなのが好きですね。僕も歴史好きなので。

昔よく歴史の本読んでたんですが、医者になってからは読んでなかったのでまたいろいろ読みたくなりました。

 

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サウザーさんは繰り返し、「商品を持て」といいます。

今の世の中のルールは"資本主義"であり、なにか価値のある商品を作り出してそれを消費者に与え、その見返りにお金を得ることで成り立っています。

それをやっている主体は経営者であり、だから資本主義のルールの中で富を蓄えられるのは彼らだけだということになります。

会社で働く勤め人は自分の労働力を会社に提供し、毎日会社に行くのに回復するための対価として給料を受け取っているだけで資本主義のなかでは何も生み出していないことになります。だから勤め人は永遠に富を蓄えられない、と。

  

なるほどな、と思いました。

そう考えると無から価値のあるものを生み出す活動をやっていない仕事ってただの奴隷みたいなものに思えてきますよね。

 

ふと医者の仕事について考えてみました。

医者が資本家側なのか、労働者側なのか、一概には言いにくいと思います。

私みたいな勤務医はまぁ給料で働いているので基本的には労働者側なのだと思うんですけど、院長先生が経営者なのか、と言われたら微妙ですよね。

その上の厚生省が経営者かと言われたらそれも微妙。

日本という国が最終的なボスみたいなものだと考えたらもう公務員ですよね。

資本主義のルールにすら乗っていない。

 

開業してクリニックを経営したら立派に経営者でしょう。

だから開業医さんは金持ちで大学病院の院長さんはそんなに金持ちじゃない。

分かりやすいですね。

クリニックでも流行っているところとそうでないところがあるので、保険診療という社会主義的な部分はあっても資本主義のルールも間違いなく適応されているはずです。

 

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これから麻酔科を選ぼうとする研修医の先生がいたら言いたいんですけど、麻酔科医という仕事は医者の仕事のなかで経営者的な立場からとても遠いタイプであることを知っておいてほしいです。

 

麻酔科ってフリーランスとかで稼げて、資産形成とかに詳しそうな人も多いし意外だなと思われるかもしれません。

 

医療をビジネスとしてみて、無から何かを生み出すということはつまり"病気や怪我を直したい"という需要があって、それを治すためのサービスとして医療を供給するわけですよね。

すべてのスタートはその部分で、そこからしか資本は発生しないはずなのです。

 

内科医や外科医、そういう病気を治すための入り口となる医者は資本家側に近いといえます。無から価値を生み出せる。

実際開業だってできるわけですから。

 

麻酔科医はビジネスとしての医療の入り口にいない。

フリーランス麻酔科もどうやら社会のなかで認められた地位は得られそうにありません。

 

もし麻酔診療自体に競争があって、よいサービスを提供する麻酔科医により高い報酬が外科医なり患者から与えられるみたいなことがあれば、より新しい麻酔サービスを生み出してさらに利益を上げる、なんてことがありえるかもしれないですがそんなことは無いです。麻酔は誰がやってもいいと患者も外科医もほとんどの場合思っているので要は資本主義のルールからみたら麻酔は何も価値を生み出していないんですよね。

 

ではなぜ麻酔科医の給料が高いのか。

www.cokermarin.com

 

麻酔科が「 外科医療のライフラインになっているから」

と書きましたが、麻酔科医が麻酔をかけなければならないというタテマエ参入障壁として機能していて、今の日本の麻酔科医が提供できる麻酔数が手術に対して少ないことで分母と分子の関係で給料が高くなっているのです。

 

逆にいうとその参入障壁が無くなったら、資本主義において何も価値を生み出していない麻酔の医者の未来が暗いのは少し想像できます。

 

これから診療科を選ぶ研修医の先生にはそのあたりもしっかりと考えて欲しいと思います。