こんにちは、コッカーマリンです。
うちの病院はまぁ俗に言う場末の病院なわけですが、事務方・経営側として考えることは、収益のために病棟稼働率をあげようとか、手術をたくさんやってもらおうとか、コストを下げようとか、周辺の医院からたくさん患者さん紹介してもらおうとか、訪問看護やリハビリに手を伸ばして、とかまぁそいうことなわけです。
いろいろ頑張るわけですが、やはり良い医者がいる、というのは重要なポイントで、まぁほんとに良い医者ではなくても、「あそこは○○の専門の先生がいますよ」みたいなのはいろいろ刺さるわけですよ、患者さんとか周辺の医院の医者に。
循環器内科の医者(わりと年配)が当院に去年くらいからやってきたんですが、いちおう「医局派遣」という形だったんですね。
以前にも書きましたが、場末の病院の上層部が泣いて喜ぶ医局派遣ですよ。
一人部長ですからまぁ心カテなんてやれないし(そもそも設備がない)、ただ居るだけみたいな感じですけど、まぁ病院にしたら「心臓の専門の先生がいる」病院になることが経営上良いと判断したのでしょうね。
ただ医者の感覚からすると、そんな年でこんな病院にひとりでやってくるとか、なんか変な感じはしますよね。
普通だったら開業するか、ある程度の病院の部長なり副院長みたいなのしてるでしょ。
実際仕事ぶりをみていると、なるほどいろいろ問題があるのが分かってきて、あーこれはちょっと問題があってちょっと厄介者みたいに思われていた人なんだろうな、ということが分かってきたわけです。
いや、違うかもしれませんよ、単なる僕の思い込みかもしれないけど。
まぁ医局に長らくいた自分の経験からの直感です。
医局派遣って、医局様とのつながりを保ててメリットいろいろあると思うんですけど、所詮場末の病院には医局の中で?だった人を送り込まれる場合がこんなふうに往々にあって、小さな病院が医局をありがたがりすぎることの弊害なんだろうな、と思いました。
それだったらフリーでやってるような医者、まぁ麻酔科くらいしかいまは一般的ではないかもしれないけど、そういう人でフリーに疲れちゃったみたいな人を雇う方がいいのかもしれない。
ただそういう人は、僕がそれに近いのでわかりますが雇用条件や自分の権利に無茶苦茶うるさいですよ。というかちゃんと「知っている」し、自分から動くことを厭わないひとが多いので、事務方からしたらめんどくさいと思います。
すぐやめちゃいそうですしね。
医者の雇用の世界も全然アップデートしませんけど、病院事務の方々は輪をかけてアップデートしてないですからね。
本気で生き残るために人の集め方をこれまでと変えてみたり、なんてことは絶対しません。
結局医局、教授のところへ挨拶へ行って人を送ってください、で送ってもらうことがベスト、というところから発想が進まないんですよ。
医局には属していないけど良い医者、みたいなのを捕まえてきて、すぐ辞めてしまわれないように給料なり待遇をよくしていてもらう、そんなことは彼らにはできなさそうです。
給料だけじゃないんですよ、待遇って。勘違いしている事務方多い印象ですが。
フリーの医者みたいな人は知識のアップデートに飢えていたりするので、英文雑誌をちゃんと読めるようにしてあげるとか、社会的な地位みたいなのに実はこだわりがある人も多かったりするので、すごく良い地位を与えてあげるとか、そういうことがすごく効いたりするんですけどね、多分。
ただ場末の病院の事務方はあんまりそういう発想はない。
麻酔科医で医局に属さず動いている人の一部はそのあたりを看破していているので、金にならない承認欲求みたいなのはもう諦めて、稼げるうちになるべくたくさんそういう病院から稼いでやろうとなっています。
いわゆる草刈り場というか、カモですよ。
批判はあるでしょうが、医療の世界がもう詰んでいるというか合理的にすすんでないので、しょうがないと思いますね。
われわれ医者は一労働者ですから、マクロのことはさておきミクロでベストの選択をしていくしかないです。