こんにちは、コッカーマリンです。
ツイッターで知ったのですが、この2月に周麻酔期看護学会の第一回目があったそうですね。
会長は聖路加の長坂先生なんですね。
なんかよく見る名前ですね。
麻酔看護師にまつわる実態と現状に関してあんまり知りませんけど、聖路加といえば日野原重明先生ですよね。
実はあの日野原重明氏によって2010年に日本で麻酔看護師の講座始まったんですよね。
日野原先生は日本の医療を良くするために医者と看護師の線引きにこだわらずにどんどん改革していくべきだという考えを持っておられたようで、それ自体は素晴らしい考え方だと思いますが。
長坂先生はそのあたりの後継者、ということなんですかね。
よく知りませんけど。
長坂先生の会長あいさつからです。↓
聖路加の周麻酔期看護学の教育は、主体が麻酔科医であるという、世界でも独特なものであり、これは特定看護師、診療看護師他のNPなどとは際だった特徴です。周麻酔期看護教育は、急性期医療の看護師の素養を身につけた者に対する、麻酔科医との協働作業のあり方、危機的状況での麻酔科医の思考、意志疎通のあり方を、看護師教育と合併した画期的な体制をととのえております。
なんで日本の麻酔看護師は麻酔科医主体なんでしょうか?
まぁいいことなんでしょうけどね、教育的な意味からは。
個人的には、まぁなんてお人好しな、と思いますよ。
おそらく今後は
麻酔科医は心臓麻酔移植麻酔、ブロックや術後管理、救急医療、ICUやペインクリニックに邁進し、
手術麻酔は少数の麻酔科医がたくさんの麻酔看護師を鵜飼いしてこなす(プラス麻酔看護師さんの「教育」) *でも何かあったら責任はとってね!
みたいなのを志向しているんでしょうが(違う?)、僕みたいな意識の低いロスジェネ中堅麻酔科医にとっては正直迷惑な話です。
てかそんな方向性に勝手にされても困るんですが。
医学部卒業後に麻酔科医の仕事はこれだ、と10年以上修行してきて大変な経験とかもいろいろしてようやく麻酔科医として一丁前になったと思ったらこの期に及んであんたがこれまでやってきた仕事は今後看護師がやります、あんたの仕事はなくなります、とどっかの誰かに決めつけられているわけですよね。
なんとなくこれまでやってきたことを否定されたような気もします。
まぁそうなる流れは理解できます。
麻酔が簡単になって鵜飼い麻酔でも問題ないだろう、というのは普通に麻酔科してたらわかりますよ。
日本の医療の効率化のためにはそれがいいんですわ、とハッキリ言われたらそうですよね、と言う他ない。
しかしね、他の科でも医療技術やその他のテクノロジーの発達によって仕事の内容は変貌している面はあるとは思いますが、麻酔科は麻酔をかけるという仕事そのものがもうあんたたちの仕事ではないという意見が堂々と存在しているわけですね。しかも麻酔科医の側からの意見で。
こんな業界やばいですよ。
金融業界とかこんなんなんですかね。
「AIがでてきているから行員は今の半分でいい!」とか会社のコンサルタントみたいな人が言ってて銀行の偉い人もそれに同意しているみたいな。
資格があるかないか、という違いはあるかもしれないけど、麻酔をかける、ということに関してなにか特別な資格が必要なわけじゃないですから実際は。
麻酔科医の仕事がなくなるわけじゃない、今後も麻酔看護師の管理役としての仕事はのこるんだ、という言論もあるでしょうけど、麻酔看護師が導入されたら実際に行われている麻酔のほとんどで麻酔科医と看護師やってることほぼ一緒じゃない?という感じになると思います。
麻酔看護師とか5年もやってたら無茶苦茶うまくなって麻酔科医の出番ほぼなくなるでしょ。
めんどくさくなって導入抜管とか勝手にやっといてとかなると思うし。
月に一回くらい挿管困難とかで出番があったときに、そもそも役に立つのか?という疑問もあります。
無茶苦茶爺医になったときに"ただそこにいるだけでいい"麻酔科医、なんて仕事はでてくるかもしれないけど。
今はまだ麻酔看護師さんも少数だし、麻酔科の先生でも実際に見たことのない人が多いと思うので麻酔科医の中で議論されることも少ないと思いますが(弱小)投資家的目線から言わせてもらうと今この業界に入るのは絶対にやめたほうがいいです。
電気自動車への流れが明らかになっている今の時代に、ガソリンの燃焼を良くする機構を開発するベンチャーを立ち上げるようなもんです。わかりにくい?
研修医の先生へのアドバイスとして何度もいいますが、麻酔科なんて選ばないほうがいいです。
語弊はありまくりですが、「看護師でもできる」仕事なんですよ。
いろいろと魅力的な「医者の仕事」がたくさんある中でわざわざ選ばなくても。
やはり"顧客"(患者さん)に直接選ばれる、そんな科に進むべきですよ。
AIとかいくら進んだって、患者さんは人間なわけですから、「性能が良さそうな人間」のところに行きます。
そんなやりがいのある科はたくさんあります。
この10年ほどフリー麻酔科医とか景気の良かったのは最後のあだ花みたいなもんだと思ってください。