こんにちは、コッカーマリンです。
手術後、痛み止めでフェンタニル(麻薬)を点滴で流しながら病棟へ帰室させることがあるのですが、うちの病院ではシリンジポンプを使っています。それでもまだ痛いと患者さんが訴える時は、看護師が指示に従ってシリンジポンプを早送りします(一応PCA)。
しかしこういう前時代的なやり方は嫌いですし、そもそも量間違えて入れたり患者さんが看護師いないときに自ら使ってしまうという危険性もあり、安全性の面でも問題があります。シリンジポンプと一緒に動き回るとか、取り回しだって悪い。
というわけでivPCA用のディスポインフューザーを入れようと思っているのですが、そんなに簡単な話ではないんですね。10年ほど前までは手術後の鎮痛用としてivPCAつけた場合、一日80点(800円)くらい精密持続注入加算がついてたんですが、今はまったくとれなくなりました。材料費は昔から償還できず持ち出しだったのですが、安く入れて3日きっちり使っていれば少なくとも損はしなかったんですね。ところが今はivPCAは在宅で鎮痛治療している人だけ対象になっていて(その場合材料費もとれる)、術後鎮痛で使った場合何もとれません。加算とれないので完全にインフューザー代は持ち出しになってしまうんですが、一つ3000円くらいするんですよね、、
「麻薬性鎮痛薬は手術に使うものであって、術後に使ったものはDPCに含まれる」
という考え方なわけです。ロピオンとかアセリオが保険できられるのと同じ理屈なんですね。
大きい病院だとインフューザーも安く入るし、手術での儲けが多い現状なんとか目をつぶってもらっているんでしょうが、当院のように零細病院にはなかなか深刻な問題です。いちおう入れてもらって使うのはたまに、という感じにしようかな、、
daVinci手術が適応拡大になった一方これまでのラパロと点数が同じで、daVinciの機器費用だけ損をする運びとなった診療報酬改定が話題になりましたが、じわじわと手術医療の世界でも医療費への締め付けは進んできていると思います。
DPCに含まれるとか、そんなのは解釈しだいなので要は今後患者に明らかに利益があって当たり前のように行われてきた医療が、お金がないことでどんどんできなくなっていくのだと思います。
根本的な医療資源の再配置が現実問題として不可能な現状ではしょうがないのだと思います。なんとかそういう小さい"コスト削減"を積み重ねて医療経済の本格的な崩壊を先延ばしにしているんですね。